dangerous | ナノ

dangerous

そうだ。僕はただ言われた通りに殺せばいい。今更後悔なんてしないさ。

彼のために手を汚したのは、これが初めてではない。

雨音に紛れて鈍い銃声が響いた。

ここは路地裏。大通りは騒がしいから大丈夫。……ここで彼を始末しよう。

気付かれないように、だが見失わないように、僕は彼の後を着いて行く。

カチャリと安全装置の外れる音がした。

各地のマフィアを束ねるボスがこんな優男だなんて、一体誰が信じるだろうか。

カウンターに座った男にスコッチを出してくれとマスターに頼む。これから私が殺す相手だ。

シャワーを浴びて出てくると先に出ていた彼がベット際に座っていた。あぁ、こんな美男子を殺してしまうなんてもったいない。

ドン、という一発の銃声が、僕の殺し屋としての人生を終わらせた。

金網を飛び越え隣の敷地へ。深夜だというのに銃声はまだやまない。月明かりだけが頼りなのだ。僕は裏庭からまた屋根へと飛び移って逃亡を続けた。

ただただ何も考えずに、僕は引き金を引けばいい。

返り血なんて、もう気にならない程になっていた。

でれでれと締まりの無い顔で一端の部下を眺める男がボスだなんて、僕は認めたくなかった。

君と過ごせる一生がもう少し長ければいいのに。

銃口の照準を標的に合わせる。あとは引き金を引くだけだ。

簡単な仕事。そう、仕事だと割り切ってしまえばいい。

簡単なことだ。この引き金を引けば、相手は地面に倒れる。

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