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海賊船、ゴーイング・メリー号は仲間と共に“東の海(イーストブルー)”を進む。『海のコック』を捜す為航路は少々北に曲げて目指すは海上レストラン。
数時間前からこの船に乗り込んでいたジョニーとヨサクが案内人として舵を取る。


「着きやしたっ!!! 海上レストラン!!」


魚の様な形をした船、海上レストラン『バラティエ』。
自分達の乗ったメリー号の船首前に見える、その海上レストランをゾロは真っ直ぐに見た。
ジョニーの話に因るとおれがずっと捜していた“鷹の目の男”も現れた事があるって話だ
もしかしたら今日――‥其奴に会えるかも知れない。そして彼奴との約束を―――…
ゾロがきゅっと口の端を引き締めたと同時に「ン任せろっ!!返すぞ砲弾っ!!!」と言うルフィの声が聞こえて、ドゴーン!と言う轟音が辺りに響いた。
見てみれば眼の前に在る海上レストランに海軍が打って来た大砲が直撃している。


「何処に返してんだ バカッ!!!」


どうしてルフィはこうも問題を次々起こせるんだ、ゾロは呆れ果てた様に溜息をついた。





「んじゃ、まぁ 謝ってくる」


ルフィがそう言ってメリー号を後にして数十分。未だに戻ってくる気配が無い。


「遅せェな、ルフィ…  雑用でもさせられんじゃねェのか 1ヵ月くらい」

「海軍のせいにしちゃえばよかったのに… バカ正直なんだから」

「見に行くか! 飯くいがてら!! な!」

「………そうね、待ってても仕方ないか。ちょっと行ってみる?」

「よっしゃ――!!」


ゾロ、ナミ、ウソップはメリー号を降りてバラティエへ乗り込む。
レストランバラティエ内の賑わいは一際凄い。無数の机で食事を楽しむ客にその机を行き来する料理人。
ゾロはその光景をただ何と無く見ていた。
そんなゾロの眼がある物に留まる。店内の中でも一際目立つ黄色い物体。
ありゃ…何だ?
その金の髪の奴がやけに眼についてゾロは知らず知らずの内にその姿を眼で追っていた。
金髪、さらさら弾む。独特の片眉毛。蒼い深い色をした眼。海の上での生活の筈なのにそのやけに白い肌。
レストランの仕事なんて事は分からねェが見てる限り体力もいるだろう。あの細ひょろっとした身体でやっていけるのか?
一瞬の出来事。興味を奪われてしまった。
関心を持つなんて珍しい事だ。況して外見のみで……、―――‥と言うか。


「これはてめェが飲め!!!」

「うぶっ!!! な…!!何てことするんだ お前はァ」

「てめェが何てことするんだ!!!」


ルフィの奴め!何なんだ、こいつは


「ああ海よ 今日という日の出会いを有難う」


声を荒げるゾロとルフィの直ぐ隣を不思議な言葉と共に風が通る。
――‥は?何だ?
ゾロの眼の端には黄色い物がチラリと見えていた。


「しかしなんという悲劇か!! 僕らにはあまりに大きな障害が!!」


――‥こ…こいつも何なんだ、ただの女贔屓か
しかしまあアホみてェな台詞をスラスラと
つい先程までゾロが興味を持っていた対象が直ぐ近くに居て、ハートを撒き散らしながらナミを口説いていた。
料理人としての数秒前までの表情。今の表情。
見比べてゾロは「はあっ」と溜息をついた。
第一印象なんて…外見でなんて…碌な物では無い、とゾロは思う。
しかし何故だか…やはり興味を持たずにはいられないのだ。





「食いてェ奴には食わせてやる!!! コックってのは」


奴が銃に囲まれて両手を広げて断言する
これがこいつの料理人としての心念か
前日の姿とはまるで別人
面白い。格好いいじゃねェか、ゾロは笑った。



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