ある日の昼下がりゾロは何時もの様に船尾で昼寝をしていた。
人の気配を感じ眼を開ければ自分の顔の前に見慣れた顔が近付いて来ている所だった。
ゾロは手を伸ばしその顔を鷲掴みにする。


「むぐっ。 何すんだ?!クソマリモっ!!」


いきなり顔を鷲掴みにされたサンジはゾロの手を払い退ける。


「それはこっちの台詞だろうが」
「何が?」


体を起こしながらゾロはサンジを睨み付ける。
サンジはきょとんとした顔でゾロを見る。


「てめェが何してやがるかって言ってんだよ」


ゾロは怒りを露にする。
そんなゾロに対しサンジは慌てる事もなく答える。


「全く動かねぇから到頭死んだのかと思って心配してやってたんだよ」


飄々しているサンジにゾロは呆れ、また寝転ぶ。


「また寝んのかよ?」


サンジはゾロの服の裾を引っ張る。
ゾロは眼を瞑りながら吐き捨てた。


「うるせェ。邪魔だ。あっち行け。」
「いいのかよ。酒持って来てやったのに」


サンジは呟く。
そして更に付け加えた。


「ちゅ〜してくれたらやるぞ?」


サンジは満面の笑みを作る。


「あ――?!」


ゾロが閉じていた眼をやっと開け自分の顔を覗き込んでいるサンジと眼を合わす。


「なぁ?いいだろ?ちゅ〜ぐらい。ホレ、ホレ」


そう言ってサンジは唇を指しながらゾロに顔を近付ける。
そんなサンジをゾロはまた手で鷲掴みにした。


「ぅむ――。」


サンジは唸る。


ゾロは指の間からサンジの顔を覗き込みながら言う。


「構って欲しいんなら構って欲しいって言え。酒なんか使わねェでな。素直に言うんなら考えてやるよ」


ゾロは『ニッ』と笑い、サンジの顔を鷲掴みにしていた手を離した。
見る見るうちにサンジの顔は赤く染まっていく。
そしてまた寝転んでしまったゾロの顔をじっと見詰め、大きく息を吸い込んで口を開く。


「ゾロっ!!構ってくれ!」


余りの大きい声にゾロは慌てて飛び起きる。
そのゾロの顔もサンジに負けないくらい赤く染まる。
サンジはゾロの方に迫って行く。


「言ったぞ。ホラ。構ってくれ!」


ゾロは口を一文字に閉じた。
その次の瞬間サンジのネクタイを力一杯引き寄せる。
その力に負けたサンジは身体ごとゾロの方に倒れこむ。
サンジの身体を上手に自分の腕で受け止めたゾロはそのままサンジの顔を自分の方へ向ける。
ちゅむ。ゾロは自分の顔を近付けキスをする。
サンジは今の自分の状況を必死で把握しようとし、今自分の唇に伝わって来るゾロの暖かさを感じゆっくりと瞳を閉じる。


刹那的だっただろうか却的だっただろうか、サンジの倖せな時間が終わる。
ゾロの唇が離れたのを感じたサンジはゆっくりと眼を開けた。
サンジの開けた眼に入って来たのはゾロの背中だった。ゾロはサンジに背を向けサンジが持って来ていた酒をぐびぐび呑んでいた。
その、ゾロの耳は真っ赤だった。
サンジはゾロの耳に気付き微笑む。
そしてゾロに近付き耳元で囁いた。


「……構って


ゾロは飲んでいた酒を一気に吹き出し噎せる。


「きったねぇなぁ。テメェ」
「気色悪ィ事言うからだろーがっ」


サンジは人差し指を立てゾロに向ける。


「確か、ロロノア・ゾロさんが言えって言ったんですが?」


ゾロはその指を払いサンジを睨む。


「犯すぞ、てめェ。」

「…いや。俺は別にいいけど。」


ゾロは自分が墓穴を掘ったことに気付き顔を赤くする。


「どうぞ。」


サンジは両手を広げる。


「…言ったな、てめェ…」


ゾロは凄み、サンジの咽喉は上下した。
これからのゾロは狼かも知れない





END

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