「ただいま〜…っと、また来てんのか」


サンジが帰ると部屋に明かりが付いていた。消し忘れたかとも思っていたが玄関にある靴を見て確信した。


「このクソマリモ!来る時は連絡しろっていつも言ってんだろ!!」


叫びながら中に入ると、そこには風呂上がりの男がいた。
"クソマリモ"と呼ばれたこの男、名はロロノア・ゾロ。

2人が出会ったのは3年前。サンジが高1、ゾロが中3の時だった。サンジが高校で親しくなったエースの家へ行くと、その弟も友人を連れて来ていた。その中にゾロがいた。
笑って騒いでる奴らを少し離れた場所から眺めてた。サンジ達もその輪に加わったが、騒いでいてもあの穏やかな深緑が気になった。

(今思えば、あの時から惹かれていたんだろう…)


知り合ってから2年、2人は付き合い始めた。
ゾロは一人暮らしのサンジの部屋をよく訪れる様になり、サンジの帰りを外で待つ事も度々あった。何度言っても連絡を寄越さないゾロにサンジは仕方なく合鍵を渡し、それからと言うもの ゾロは我が物顔で部屋に居着いた。


「おう、遅かったな」
「〜ッ///服くらい着ろ!!」


ゾロは腰にタオルを巻いているだけで、その整った肢体を曝していた。幾ら見慣れた"男の体"とは言え、それは紛れもなく"恋人の躰"。あの胸に、腕に、抱かれた夜を思い出してしまう。

ゾロが着替えてる間にサンジは自分を落ち着かせた。


「サンジ、腹減った」
「オレはてめェの飯炊きじゃねぇ!……で、何食いてぇの?」
「なんでも」
「てめェ…何でも良いなら適当に食ってろ!!」
「違ぇよ アホ。お前が作った飯なら何でも良いって言ってんだ」


数秒の間があり、言葉の意味を理解したのか サンジはボンッと音を立てる勢いで顔を赤らめた。


「…サンジ?」

「ふぁ?…あ、ぃ今何か作る//」


ゾロはいつも直球で、サンジはその一言一句,一挙一動に胸が高鳴った。そしてついついゾロを甘やかしてしまう。

(無意識なのがまた質悪ぃんだ…)


「…今日は中華か」
「あん?和食のが良かったか?」
「いや。お前の飯なら何でも良いって言ったろ」
「ぁ…///」
「早く食おうぜ、凄ぇ美味そう」


茶碗を渡すとゾロはちゃんと手を合わせて"いただきます"をする。高3の男子にしては珍しい礼儀。サンジはゾロのそんな所も気に入っていた。



「ん、美味い」


ゾロがサンジの料理に感想を言う事は少ない。滅多に聞けないその台詞に、拝めないその顔に、サンジは破顔した。


「なぁ…今日、泊まってくか?//」

「……良いのか?」


サンジから誘うのは初めてだった。今日のゾロはいつになく可愛く見えて、サンジはもっと甘やかしたい,甘えたい…と思った。


「明日はバイト昼からだから…///」

「ん…じゃぁ泊まる」



2人の夜は甘く激しく更けていく…


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