日記SS | ナノ

恋はいつも直球ストレート


「 ―――― よし!」


サンジは今の今まで息を止める様にして見入っていた長方形の液晶に、言葉をぶつけた。
地鳴りみたいな何百万人の声と拍手をスピーカーから響かせるその向こう。紙テープの中、ユニフォームを着た監督が選手に囲まれて。1回2回‥8回と宙に舞った。
 嬉しそうに抱擁する選手達に優勝おめでとうのボードを掲げるファンと一緒になってサンジも頬の筋肉を緩める。
3年振りかあ、と思う。
 クライマックスシリーズは3位までのチームが戦って決めるだけあって、優勝しなくとも日本シリーズに行けなくも無い。
それでも。優勝してのクライマックスシリーズ出場と言うのは何だか特別で。負けて日本シリーズに出られなくとも。一入なのだ。

 暫くすれば祝勝会が放送されるだろう、この日の為にビールはケースで買ってきてある。
勿論、掛けたりはしないけど。飲む。
準備するか、サンジが立ち上がれば



「終わったか?」


何時の間にか齧り付くみたいにしてテレビに近寄っていたんだろう、斜め後ろから背中に少し気を遣った声が届く。


「ああ、終わったぜ!優勝だ! これから祝勝会するからゾロも飲むだろ?」


にやんと笑ってやる。


「いらねェ」

「あ?ケースであるから飲みたい放題だぜ?ビール」

「いらねェ」


控えめな声質は、てっきり早く飲みてぇを押し殺してなんだろうと思っていたサンジはぽかりと、かなり間抜けな表情で。
けれどゾロは至極真面目に。「いらねェ」と、「何で?」そう返させない強さで更に告げた。



終わったんなら


「   さっさとかまいやがれ」


何時間放っとくつもりだ
普段なら言わねェでも手出すくせに、面白くねェ



中継が始まってから約2時間30分。

テレビにヤキモチ妬いて唇を尖らせたゾロの其処に締まりのなくなった自分のを押し付けた。
ちゅうと音を作る。
これから放送されるであろうビール掛けにちらりとおめでとうの他に有難うと思いを乗せて。
サンジはゾロの身体を組み敷いた。



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有難う→ゾロにヤキモチ妬かせてくれて!、です
巨人優勝おめでとーーーう!に便乗して書いてみた。サンちゃんはでもどっちかって言うと野球よりサッカーのが好きそう
8回とか3年ぶりとかはリアルまんま使ってます
(2012.09.22)



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