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心臓に口付けひとつ


「たんじょうびおめでとう」


そう言えば一応言っといてあげるよ、なんて何かの拍子で偶然知ったみないなそんな口振り。
そんな、事…ある訳無いけど。
ぴったりだと、思ってしまったから。「極限!極限!」煩い君に、まだまだ暑いこの夏の日が誕生日だっての、凄く自然に。似合ってると思えるから。
忘れられなくなった。




 誕生日だなと1番最初に意識したのは8月のカレンダーになって直ぐ。似合わなく悩んだりし始めたのは多分1週間位前。頭を過ったのは、どうしよう、だった。
あのボクシング馬鹿の欲しい物なんて知らないし。訊いたところで「ヒバリのボクシング部入部希望用紙だ!」とか「極限にヒバリだー!」とか意味の判らない事言い出しそうだし(後半のは判ってるけど、そんなに鈍くない)。
僕の誕生日には駄菓子が大量に詰め込まれた袋なんて(欲しくもない)もの「ヒバリは何が好きか分からなかったから俺のオススメだ!サプライズがしたかったからな、ヒバリには聞かなかったんだが…食べれそうか?」なんて殊勝に貰ったから。
だからってあげないといけない義理にはならないけど貰いっぱなしは気に食わない。なんとなく了平が言いたい事が判らなくも無い事も無いとかそんなんじゃ無いから。


ただ今は夏休みで。


街に溢れる浮かれた草食動物は噛み殺したくて堪らないけど、今日は本当に仕方なく、風紀委員の仕事があるのを思い出したから、何度も言うけど本当に仕方なくだから、学校に来てて。
偶然に部活に来ていた了平を見付けたから、序でに、気紛れに、言ってみただけで。
だから!早く何か言ってくれない?
恥ずかしいんだけど。耳がガシガシ言ってる。
何か反応しなよこっちが馬鹿みたいじゃないか


「   ちょ、…――――― !?」


見れば了平も真っ赤になっていた。多分、同じくらい。


「なっんなの?何で君も赤くなってるの。君の事だから今日は散々言われたんじゃないの」

「いや、まあそうなんだが…雲雀に言われるのと他の奴に言われるのとでは違うんだ。極限にドキドキして嬉しくて極限にヒバリを抱き締めたい」


僕には今の自分の表情を作る言葉なんて知らない、きっとこの感情そのものの顔。それで了平を見遣れば唇が触れあった、ぎこちなく。
心拍数をあげるのには充分のそれ。了平は僕の心臓壊したいの?大体抱き締めるの許可した覚えはないよ


「極限にありがとうだ!ヒバリ!」


誕生日だったからな極限にヒバリに会いたかったんだ!
夏の太陽も、太陽みたいな向日葵なんかよりも、ずっと夏らしい笑顔で了平が笑った。
仕方ないから言ってあげるよ、僕だってサプライズが嫌いな訳じゃない。


「ねえ、誕生日プレゼントなんだけど 特別に僕を好きにさせてあげるから、有り難く貰ってよね?」



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何コレ何なのコレ!
いつもヒバ誕祝って了誕祝わないなあーとか思ったので今回は了誕に。
この後了平さんはプレゼントに貰った大切なヒバリさんをお持ち帰りします、もしくは了平さんがお持ち帰りされます。そしてアンアンします←
(2012.08.26)



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