日記SS | ナノ

飾り付けた寂しさを


本来なら触れると表現するのが一般的なその行為は。
触れると言うよりも噛み付かれる、いや齧られたって言った方が正しいのかも知れない、現に其処は痛いし寧ろちぎって持って行かれたんじゃないのかって位で。
結局はやっぱりクソ痛い。血出てねぇだろうな?



「  てめェ何してやがる」


びりびりと。地を這う声にねめ付けてくる眼。
俺は眉間にぐっと力を入れた。
何って何だ?何時もより眼許が剣呑さ持っているのも、何でコイツはこんなに機嫌が悪い?急に人ンとこ押し掛けて来て傷害沙汰(多分、そんな感覚が俺の身体にはある)起こしといて悪怯れてもなく逆に苛々なんかしてやがるし本当に何なんだ。けどどうやらその矛先は俺らしいそれも納得なんてもの出来はしないけど


「何、って もう寝んだよ何時だと思ってやがる」


開いた口腔には僅かに鉄分の味がして。やっぱり何処か切れてしまっているんだろう。
「ゾロ」、呟いた言葉は酷く生臭く。気持ち悪かった。


「違ェ、  昨日とその前何してやがった」

「昨日とその前、は… 別に家で、」

「何で来ねェ」


え?と疑問符。


「何処へ、だよ?」

「てめェ 正気で言ってんのか?」


一段とゾロの眼が凶悪さを滲ませる、その理由に思い付く事が無い訳でもなくて。
ゾロの怒りに当てられる形で俺の声も張る。


「テメェが仕事だって言うから仕方なく、じゃねーか!」

「仕事ったが来るなとは言ってねェ!飯作って待ってやがれ!」


指先で触れてみた、痛みを持つ脣は実際は凄く熱くて。
どうやら齧り取られてはいなかったらしい、そう意識してしまえば、記憶が飛ぶのは数分前。
ぶつかるみたいになった脣と脣に、だったら本当の目的は。


「ケーキ喰ってた、テメェと喰うつもりで材料買ってあったから作って、 どうしてか美味くなくて残したけどな」


答えたそれは今までのゾロからの質問に、


「それ喰わせろ」

「し‥仕方ねぇな クソマリモめ。料理もまだ材料あるし作れるぜ…?」

「それも全部、だ」


びっくりする程不器用で下手くそなゾロの。
精一杯の甘えといじらしさだったんだろう、そのキスに。
最高のクリスマスプレゼントを貰ってしまったと、口唇が緩む。

そのお返しは俺の躰で、



2人で突付き合ったケーキは固くなんてなってしまっていたけど。独りで寂しく喰べた時よりもうんと信じられない位に美味しくて。
ゾロと一緒に競うみたいにして頬張った。


「メリークリスマス」




(ねぇサンジ君、サンジ君の部屋の扉の事なんだけど)(ナミさん!あ、コ…コレ?だ、大丈夫だよーちゃんと修理頼んでおくから、ちょっと怒り狂った獣が突進して来ちゃってさ)(まあ修理してくれるんなら良いんだけどね、大家としては)(あははーごめんねー(鍵閉めてたの無理矢理壊したのかゾロ、そりゃそうか、でねぇと入れねぇしなしかし怪力すぎだろ、呼び鈴も使うの惜しむ位に焦ってきたのか))嗚呼なんて愛おしい…!


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一緒にクリスマスが過ごせなかったゾロとサンちゃん。
きっとゾロにクリスマスの予定を聞けば仕事だとか言われて、実は自分は休みとか取ってたりして、けど仕事だったら仕方ないと身を退いたサンちゃんと。皆がクリスマスだと浮かれる中家に帰ったらサンちゃんが居なくて、その内来るだろうと様子見たイブとクリスマスの今日こそはとか思ってて、日付が変わった瞬間寂しさに居たたまれなくなって行動を起こしたゾロ。 ───と、そんな感じ。
何か纏まりないなあ、文章。うーん、行動派(当サイト比)のゾロからのヤキモキちゅーが書きたかっただけなのです。
(2011.12.26)



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