(やっぱり甘くない方が良いのよね)
(だったらビターかしら?)
(アーモンドをコーティングするだけにしたら…これだったら喰べれるわよさすがに)
(サンジ君キッチン借りるわね)
ご機嫌斜めにチョコレート!
胸がもやもやするのは。
ナミさんとロビンちゃんの愛たっぷり籠もったバレンタインチョコレート、ガツガツ喰べすぎたからだとか。そんなのじゃなくて。
そのチョコレートが俺以外の野郎どもにも配られたとか、まあこれも理由では無くて。
そうじゃなくて。
今手にある、このチョコレートがナミさん達が話してたビターじゃ無かったって事だったりアーモンドをチョコレートでコーティングされたやつじゃ無い事が。やけに引っ掛かったりなんかしている。
アーモンドは確かに食糧庫からチョコレートと一緒に無くなっていた、だから作るチョコレートを変えた訳ではないんだと思う。
アーモンドは使われていて。
つまりはそのチョコレートが、甘いの苦手なゾロの為だけのものだって事なんだろう。だったらそんなのは面白くない。
トクベツに。思ってるナミさんも思われてるゾロも、何だかずるくて。
何処にぶつけて良いのか分からない、本当は誰だって悪くないから、感情を。
ナミさん達の使い残しの茶色い固形物と一緒に鍋にぶち込んでどろどろになるまで混ぜた。
「 何してんだ?てめェ」
さっきから、と。キッチン前の椅子に座ったゾロが覗き込むのを。
「見て分かんねぇのか、チョコ作ってんだよ」見ないままに適当あしらう。
まな板の上、均一の大きさに丸く並べたトリュフチョコレート、1個摘んだ。
熱で。じわり。指先にチョコが溶ける。
「毒入りだぜ?」
小さく笑って。口の中に放り込む。
そして。そのまま。
ゾロに唇を寄せた。
舌を使って丸い形が崩れ始めたそれをゾロの口腔へ押しやる。
ごくりと嚥下の音。
「腹壊しやがれ、クソマリモ」
俺の。行き場の無くした胃だか心だかその辺りの臓器、痛みつける嫉妬の塊、に。
それに食当たれば良い。
ナミさんの、食べる前に。
ゾロが顔を歪めた。
「 ───、甘ェ」
毒の味。これでもかって程に詰めたヤキモチは。言い換えれば好きの味の重さ。
どれだけトクベツだと思ってやがる。
ナミさんには悪いけど。これだけは譲れないから。
にがくてあまい
「恋の味じゃねぇか、美味いだろーが」
「 あァ、」
甘いチョコレートもどろどろのヤキモチの味も。
テメェのだ。残さず喰えよ?
チョコレートも溶け出すくらい、愛して。どこもかしこも。余す事なく熱くして。他の誰にも渡さない気持ち。教え込んでやるから覚悟しやがれ。
抱えきれない愛一杯をゾロに。
(ねえ、ロビン…フランキーとブルックのもビター仕上げのアーモンドチョコだって 言った方が良かったかしら?)
(………そうね。キッチンに入れないわ)
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オチは、ないよ\(^q^)/
ヤキモチサンちゃんが書きたかっただけなのです。
(20110215)