日記SS | ナノ

君の隣で僕は愛を唄う


じわじわと伝わってくる熱は。人工的な嫌らしいそんな簡易なものでは無く。
うんと。ずっと。暖かい。









枠にぴっちりと嵌め込まれた窓ガラスがガタガタと煩く音を立てるのを眼を瞑ったまま何処か遠くの音の様に聞く。
何時もは寝汚い程の流川が、今日は目覚ましが鳴るより早く眼が醒めたのは。部屋の中を作るあまりにも冷たさの強い空気だった。
もう冬に片足を突っ込んだ季節だとしても未だ11月上旬。寒すぎじゃないかと思う。
昼になれば上がるだろうと思った気温は然程変わらないまま、夜はもっと寒さを凝縮した夜陰を作った。
でも今は、いっとうあったかい。
その素に。押し付けるみたいにして頬を擦り寄せれば。
ぽかり、と小気味良い音が頭の後頭部辺りで作られた。


「   ?、何」

「いい加減離れろ、バカギツネ コレじゃナンも出来ネー!」

「何、すんの?」

「あ?腹減っただろーが、飯喰わねーのか?」

「  喰う」


折角の花道の手料理喰べない訳が無い、そんな勿体無い事をする訳が無くて流川は直ぐにコクリと頷いた。
花道の、年季の入ったアパートに。エアコンだとかそんなものはなくて、自分の部屋より寒くて。あるのは小さいストーブ1台と炬燵だけだけれど。そんなのいらない位あったかいのは。きっと。抱き締められる大好きなどあほうが居るからで。
花道が居なかったらエアコンだとかストーブだとか炬燵だとかを何台使っても暖かくならない気がする。
心、を暖められるのはどれだけ世界中捜しても1個だけ。赤いどあほうな天才以外に居る訳がない。
ぎゅうっと流川がその腕の力を強めれば。うぐっと小さく花道が呻いた。


「ルカワ!飯喰うんじゃねーンかよ?」

「   喰う、でもあったけーの気持ち良いから」


どっちも。


「ふぬっ? ………まぁ、確かにキモチイーけどよ」


花道は真っ黒な、しぃんとした夜よりもずっと深い色をした髪の毛を梳く。そうしたら流川がもっと気持ち良いって顔をして見せた。
花道にしか分からないような微妙な顔の筋肉の動きだったけれど、それは明白で。
なんだかそんな流川の顔を見てしまったら花道も気持ち良いとかまた思ってしまったから。


「やっぱり飯作るカラ離れろ、ルカワ」

「嫌」

「ダカラ!早く飯喰って風呂入って、それからギュウギュウ抱き締め合って今よりもっとキモチ良くなろうぜ?」


「どうだ?」なんて。昼間の役に立たない太陽よりも。もっとピカピカした顔で花道が笑った。
横一杯に引き伸ばされた、ぽってりと厚みのある美味しそうな唇に。流川は自分の薄い唇を重ねる。
ひやりした冷気に触れていた互いの唇はあっと言う間に温かいの通り越して。あつい。
熱くて気持ち良くて。くちゅりと上がる水音が凶器みたいだった。



「それ最高」


どあほうダイスキ、と呟いて。
もういっかい、約束をする様に優しいキスを。
2人で、した。



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流花って何だかほのぼのでほわほわっとあったかくて。
最近ますます良いなぁって思うんです。倖せいっぱいだなぁって。
好きすぎる。
(20101110)




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