「ゾロー、寝てねぇだろうな? 夜食持ってきてやったぞ」
今日の見張りはゾロ。
サンジは展望台へと夜食を運ぶ。
少しうとうとし始めていたゾロだったが、サンジの声と気配に眼を開いた。ゾロは一緒に付いてきた酒に嬉しそうに手を伸ばす。
展望室の窓からは真っ黒な夜空。
サンジは覗く。
まばゆいばかりの星の群れが我1番と輝き競う。
「おー! 見ろよ、ゾロ。星がスゲェぞ!天の川だなー」
「そうか」
「興味を持てよ! …そっか、今日は七夕なんだよなー。今頃、織姫さんと彦星はヤる事ヤリまくってるんだろうなー」
「…言葉を慎め」
ダイレクトな言葉の選択に、呆れた様にゾロは溜息を吐き出す。
暫く窓から天の川を見ていたサンジがくるりとゾロに向き直った。
にいっ、と笑うサンジにゾロは眉間に皺を寄せる。
こう言う時のサンジの笑顔はあまり良くない。何と無くゾロにはそれが分かった。
「なぁなぁ。もしゾロが織姫だったとして、俺に1年に1回だけしか逢えないってなるとどうだ?寂しいかー?」
サンジはにこにこ笑顔。
ゾロは『また何か始まった…』と何を思い付いたのかと少し身構えた。
「……否」
「な、何でだよ!寂しいだろ!好きな奴に逢えねぇんだぞ!」
「…てめェはいくら“1年に1回だけしか逢ったら駄目だ”ってなったとしても来そうだからな。付き人とか門守とか蹴り倒して」
「―――――うん。うんっ!行く。行くからな!逢いに行くから待ってろ!」
「……だから来ンな、て」
ぐっ、とサンジは両手に握り拳を作る。身体中に力が入っているらしい。
真剣にゾロの顔を覗き込むサンジに、ゾロは苦笑混じりの笑みを浮かべた。
身構えていたゾロの体からは力が抜けたみたいだ。
「来てほしくねぇのか?」
「そうは言ってねェ」
言ってしまって、満面の笑顔になるサンジを見て、ゾロは少し照れた。
自分がついポロリと零してしまった言葉に
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織姫と彦星にも負けない甘ったるい2人の恋のお話。
(2008.07.07)