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流花の日


「どあほう」

「ぬ?」


そう言って流川が壁に掛けられたカレンダーを指差すものだからついつられる様にして花道はその指を視線で追い掛けていた。



の日




紅葉の写真がプリントされ使い易さを考慮された日付の所に予定を書き込める様になっているそのカレンダーは、花道が商店街で買い物した時に店の店主から貰ったものであり(やっぱり商店街は奥様あってのものだ、その需要にあわせねぇとな)、もうそろそろ役目を終えようとしている。

カレンダーを見てみても特に用事が書かれている訳でも無いので、興味を引かれるものでもない。自分の部屋にある物なので見慣れてもいるから余計にだ。
良くこの部屋に出入りしている、それはもう自分の部屋の様に、流川も見慣れているはずだろう。
花道は直ぐに流川の方に向き直った。


「どーしたんだ?キツネ君。何もねぇぞ?」


軽く首を傾げるその姿は可愛い以外の何ものでもなくて、流川は素直に抱き締めたいと思う。
だから、行動に移してみた。
きゅっと自分と大して変わらない、なんなら自分よりもガタイの良い男の筋肉質の体を抱き締めて、隆起した肩の筋肉に鼻先を押し付ける。
嗚呼、どあほうの匂いだ、と思う。


「ぐあ!ルカワ!離れやがれ!」

「ヤダ」


離れねぇ、とばたばたと暴れるその体を更にぎゅっと強く流川が抱き竦めれば、溜息を吐き出す音が聞こえた。
「カンダイなオレ様に感謝しろよ」なんて背中に触れてくる少し遠慮を孕んだその大きい両掌が愛おしい。


「どーしたよ、ルカワ」

「……今日、11月10日」

「ぬ?それがナンダ?」

「オレと桜木の、日。‥ユニフォーム」


普段から言葉少ない流川の乙女かよとツッコミたくなる様な台詞に、「ぶはっ!!」なんて息の吹き出す壮大な音がして、花道の肩が揺れる。鼻を押し付けていた流川の身体も一緒に揺れた。
何が面白いのだと、不満を滲ませた眼で花道を睨めば、その流川に向けられている眼には愚弄など含んではない。
飴色より薄く透き通った双眸が綺麗に細められて、流川は本当にどうしてコイツは自分と然程変わらないガタイをしていて、紛れもない何処から見ても男の花道がこうも自分の心を乱すのだろうかと思う。
ぷくりと厚みのある唇がやけに凶器で、流川はそれを隠す様に自分の薄いそれで塞いだ。
花道の視界には白と黒のコントラストが生まれる。白い精悍な顔付きに、ルカワの黒に溺れてしまいそうだと花道は思う。


「どあほう、スキダ」


ぎゅっと抱き付いて、流川は花道の首筋に再び鼻先を擦り付ける仕草をする。
黒髪が擽ったくて花道の咽喉が小さく音を立てた。


「おーアタリマエだろ」

「さくらぎ、は?」

「ぬ?このキツネ君はオレ様に愛されてる自信はねーのか?」

「ある、けど…ねぇ」

「ナンダ、そりゃ。ったくこのキツネは仕方ねーな」


流川が可愛くて何だか無茶苦茶甘やかしてやりてぇと思う自分に自嘲を送りつつ、相手はキツネだからな動物愛護みてーなのもあるのかも知れん、やはり天才なるものは万別に優しくねーとと考える。
そうしている間にも流川が花道を抱き締める力は強くなる一方で、(ホントにこのキツネは)と思う。


花道から送ったキスはあっと言う間に流川に噛み付かれ奪われていく。
ん、と吐息混じりの声が花道から漏れれば益々それは流川を煽るには充分で、花道の身体はキスの息継ぎをしようとした頃には組み敷かれていた。
何時もなら「万年発情ギツネ!」等と悪態吐く所でもあるのだが、ルカワ曰くキツネとオレ様の日だって言うんだから仕方ねぇ。特別にサービスだ
カンダイで天才なオレ様に感謝シロなんて言い訳に並べて、ルカワの言葉が何だか嬉しいとかそんな訳ねーぞ!



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あ、ヤベ。着地地点見失った(=_=;)
1031の日もうきうきしたんですが、流花の日なので1回書いてみたかった、書いてみたかったんだ…!
流花の日だなーで書き出したからか(←全ての悪因)、普段書きもしないカプだからか内容ペラペラだし、グダグダ感が表面に浮き彫りになりました、スミマセン。でも楽しかった、有難うるっぱな!
(2009.11.10)




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