日記SS | ナノ

沖田さん誕


今日の総悟の機嫌は朝から最悪だ


土方はつい数分前の出来事を思い出して盛大に溜息を吐いた。
何時もは土方や他の連中が起こしに行かないと自ら起き様とはしない沖田だったが、今日はそんな土方が起きるよりも早く起きて土方の元に向かっていた。
そして部屋に入るなり一発、バズーカをぶっ放した。
これはもうどの目覚ましよりも強力に土方を眠りから引き上げた、それはもう驚き過ぎて逆に永遠の眠りにつくんじゃないかと思う程に。


土方は地に向かってもう1度盛大に溜息を吐いた。
理由は分かっている、今日7月8日は沖田の誕生日だ。それは無言で、行動で、早く祝えと言っているんだと、何となくだが分かる。分からない程の短い付き合いでもない。
自惚れでもなんでもないが何が欲しいかと問えば十中八九その答えが返ってくる気がする。問わなくとも言われそうでもある。
祝ってやっても良い、とは思う。だがどう祝えば良いのかが悩み所なのだと土方は思う。
……流れに身を任せる、か?
土方が市中見回りから屯所に帰った頃には太陽が真上から少し沈み始めていた。


土方は1つの襖を開けていた。そろりと中の様子を窺う。
中は酷く静かで、部屋の中央に開けた襖から射す光に因って僅かながらに影を落としあの巫山戯たアイマスクを浮かび上げさせる。
近付いてみても起きる気配が無い。
狸寝入りかとも考えたが、どうやら本当に寝入ってしまっているのだろう、微かに寝息が聞こえる。
ふて寝、か?
流れに身を任せる事に決めた土方にはこれは充分出鼻を挫かれた感じではあったがまあそれは良しとするか、と土方はわざわざ起こす事もないだろうと部屋を後にする事にした。
が、直ぐに向き直る。顔を、前髪が触れるかどうかの距離まで近付ける。


「総悟」


土方、さん?


「起きねぇ、か」

今、起きまさァ
ちょっと待ってて下せェ
眼が重てェんで、あと少し…


「否、寝てても良いんだ」

土方さん?


「誕生日おめでとう、総悟」

嗚呼、やっと言いましたねィ
有難うございやす
アンタに1番に言って欲しくて部屋に籠もってた甲斐がありました、どれだけ待たせるんでィ


「これ、は…忘れろ」


そう声が響いて、額に感じた感覚に沖田の寝顔が少し緩んだ。
それから直ぐに襖は閉められ、顔を赤くした土方は廊下へと飛び出した。



「あー、副長!沖田隊長の誕生会の話なんですけどー、って副長───!?」


声がしたが土方は振り返られずに居た。
今は誰にも会いたくない、と言うか会えない。
土方は真っ直ぐに部屋へと足早に向かっていた。



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くはー!甘い、本当に私が書くと全て甘いね。ふはは←
この後沖田さんは起きて土方さんを追い掛ければ良いと思います。
(2009.07.08)




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