日記SS | ナノ

今日は何の日?


「土方さん、今日は何の日か知ってますかィ?」

「そ、りゃ…まぁな」

「何の日で?」


それを俺に聞くのか!?なんて心の中でツッコミを入れる。
扁桃型の真っ直ぐな眼が土方を捕らえていた。
これはどうやら言わないと駄目なパターンらしい。土方は直ぐに観念する。


「誕生日、だ…俺の…」


自分で言うのはこれはまたどんな一種のプレイなんだと心の中で溜息を吐く。
何だか変に恥ずかしくなって土方の声はやけに閊えてしまった。
その答えを待っていたかの様に沖田の口許が少しだけ持ち上がる。
下を向くようにしていた土方にそれは気付かれる事はなかったのだが正面を向いていたら気付けていたかも知れないその笑み。


「何を言ってるんで?今日は玩具の日ですぜ。あとはメロンの日とわかめの日でさァ」
「何それ?何それ!?せめて有名な子供の日とか端午の節句とかだろ!何チョイスしてんの、お前!」


何だか一瞬でも期待した自分が馬鹿らしい
土方はその場を取り繕うかの様に隊服のポケットから煙草を取り出した。


「あ、そうでェ!土方さんへの贈り物があったんでさァ。貰って下せェ」

「プレ、ゼント‥(お前からの、くれる、のか)?」


――なんて期待した俺が馬鹿だった
沖田の方に視線を向けた土方の眼に入ってきたのは何時ものあのバスーカを構えたその姿。
息を呑めば沖田が構えるそれは轟音を響かせた。


「総悟っ、テメェェェェ!」


くそっ、何なんだコイツは!
真面目な顔して何でも普通に通そうとするから分かんねぇ、何処までが本気なのか
別に俺の誕生日を覚えてて欲しいとは言わねぇ(本音ですかィそれは)、プレゼントを欲しいとも言わねぇ(それがアンタの本心で?)
(本心なんか俺が言える訳ねぇだろうが)



「土方さん?」


もう無視だ。無視無視
どうせまた俺を期待させて谷底に、否もっと下の地核位まで突き落とす心算なんだろ、テメェはそんな奴だ
違う、俺は最初から期待なんてしてねぇんだよ
すぱすぱと煙草を吸ってみる。味なんて分かりはしない事は吸っている土方自身が1番知っているが自分がまるで祝って貰いたがっている子供みたいな考えに陥っているのに気付いたから、単に誤魔化しだ。



「土方さん?」


もう本当にアンタってお人は可愛い人ですねェ
本気で俺が、土方さんの、誕生日を、忘れるとでも思ってるんですかィ
そんなに可愛い態度を取るから揶揄いたくなるんでさァと沖田は心で破顔した。
そんな所が好きなんですがねェ


「――――!?」


驚きを纏う眼とふわり優しさを持つ眼とが交差する。


「そ、うご…?」

「誕生日おめでとうございます」


そう言う眼が、本当に愛おしい者を見ている様に暖かいから。
そう言う言葉が、本当に心の奥まで響くから。
触れ合った掌に心臓が煩く騒ぎ出す。


(此処からが本番でさァ)
(――‥総、悟くん?)
(焦らした分、たっぷり愛してあげますぜ)


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終わる!
一貫性が全く感じられない…… orz
土方さんおめでとう!可愛がって貰って下さい!
(20090505)




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