日記SS | ナノ

4月1日


「もう止めたい」


この言葉が合図。
丁度朝食も終わりキッチンが静かになった頃その言葉が宙に浮いた。
何度も確かめる様に念を押す様に繰り返す。


「止めよう。ゾロも何時も嫌がってるのは知ってたからもう止めよう。無理は良くねぇから止めようぜ、俺達」


1秒後ゾロの眼は見開かれた。
5秒後見開かれた眼はもう元に戻っていた。
10秒後聞こえてきた言葉「上等だ」。
30秒後静かな冷たく重い空気を残してゾロはキッチンから出て行った。




「サンジ君!ゾロ知らない?ウソップの誕生会だってのに居ないのよ」

「え!嗚呼…じゃあ俺ちょっと探して来るよ」


そう言えば朝キッチンで見かけた以来全く見ていない。
何処に行ったんだ?
うろうろとサニー号を歩き回る。本来なら居る筈の確立が高い男部屋やジムには居た気配すら感じられなかった。
海にでも落ちたか?と首を傾げればエネルギールームに見慣れた人影。ゾロ…だ。
俯いている。こんな所で寝込んでいるのか。


「ゾロ、起きろー」


身体を揺する。無反応。
でも起きているんだろう事は何となく分かった気がした。


「ゾロ起きろ! ウソップの誕生会なんだ顔位見せろ」

「……………」

「ゾロ?どうした?」


……誘ってる?
顔を近付けて狸寝入りを続けるゾロにキスしてやれば開かれた眼は狂惑の色。怒りさえも纏う様な眼差しが向けられた。
あれ…?何だか温度差
良く分からなくて真っ直ぐにその眼を見詰め返すしか出来無い。


「巫山戯るのも大概にしろ」


ぽろり、一粒の涙。
眼が逸らされる。


「ゾ… ゾロ…?」

「どっか…行け」

「……っ! 無理。そんなゾロ置いて行けねぇ」

「消え…ろ…」

「泣く程嫌だったなら謝りてぇ」

「も… 優しく、する…な」

「ゾロ…?」


自惚れだろうか。
向けられるゾロの眼は何だか寂しそうだ。抱き締めたりしたら否定されるだろうか。


「おれ振られたんだろ… 期待したくねェから消えろ」

「なっ!?そんな事誰が言ったんだ?オロしてやるから言ってみろ!」

「てめェだろ… 朝…キッチンで……」


――――っ!!
わ、忘れてた――!
あの後バタバタとウソップの誕生会だとルフィ達4人に急かされてフォローし忘れてた!
それに気にしてる風じゃ無かったじゃねぇか!
でもそうかゾロ…真剣に……


「あ…否。ホラ、ゾロ…今日はあれ…あの日だろ」

「…ウソップの誕生日だろ?それがどうした」

「否、もっと重大なあの日…エイプリルフールじゃねぇか……」

「エイプリル…」


ゾロの眼を見れば分かった、理解した事を。
正座しつつ少し後退って床に押し当てる額と掌。
別れる気なんて毛頭…これっぽっちも微塵もナノ単位さえも無い。大好きだから別れられる筈が無いんだ。


「悪かった!…軽い気持ちで俺……」

「クソコック…!」

「ゾロ…クソごめん!」

「言っていい嘘とそうでねェ嘘ぐれェ理解しやがれ!」

「うん…本当に俺は最低だ」


言うだけ言って忘れて切腹物かも知れない。だったら介錯はゾロがしてくれ。


「嫌なんかじゃねェんだよ!てめェと居るのは!」

「ゾロ…?」

「好きって言いやがれ!クソコック…!」

「ゾロ…」


不謹慎などう仕様も無い奴でごめん。
ゾロが本気でヘコんでるって言うのに…クソ嬉しい。
思わずには居られない。最強の想いがあるって事を。最高の相思相愛が存在するって事を。


「愛してる」



-----------
サンちゃん軽く最低な奴に仕上がった感じがしないでもない。
ゾロはイッツ乙女。万歳←
エイプリルフールって事で嘘SZ(巧くない)、みたいな感じで…スミマセン。
(20090401)




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