セックスをするときは俺が倉持を抱いているというのに、俺はどうやら彼の尻に敷かれている気がする。否、気がするのではなくて、絶対、そうだ。
彼は大体の場合、口は悪くとも耳が見えそうなくらいの忠犬っぷりであるのに、俺と2人きりになったりすると途端に牙を剥く。そうなったときの倉持はとんでもなく色っぽいし、誰にも見せたくないと思う。
けれど、そういう時、キスを仕掛けるのもセックスしようと言うのも、常に倉持だ。別に嫌ではない。むしろ歓迎するべき事なのだというのは分かっている。現に、降谷などは沢村を誘っても理解されずにそのままゲームをしたりして眠る時間になってしまうとぼやいていた。
だから、自分はある意味恵まれているのだと。
そう思った方が、いいのだ。
「倉持」
「ん?なんスか?あ、ポテチ食べます?しあわせチーズ味。結構美味しいっスよ」
「ん、食う」
頷いて、ポテトチップスを1枚つまもうとすると、それをひょいと倉持がくわえて、ん、と顔をあげた。
「…なんだ、倉持」
「んー」
「……」
ポテトチップスを、そこから食べろと言うのか。なんで。どうして。そりゃあ恋人同士だけれど、こんなの恥ずかしすぎる。セックスまでした仲じゃないかと言われたらそれまでだけれど、でも、恥ずかしいものは恥ずかしい。
「……」
嗚呼、倉持が無言で見つめてきているのが怖い。ここで逃げてしまえば、臆病者だと思われる事は想像に難くない。
ええい、ままよ。
「ん…、」
倉持がくわえているポテトチップスを咀嚼し、満足そうに細められた彼の目をみとめたあと、そのまま口付けた。
「ん…っ!!?んんぅ…、っむ…!!」
歯列を舌でなぞり、彼のものと絡め合わせて、目一杯倉持の口内を蹂躙する。じわりと倉持の目に涙が浮かんだところで、唇を離した。
「っは…、じゅ、じゅんさ、」
「なんだ、倉持」
「〜っ、は、なん、なんで、いきなりっ」
「なんで?そら、好きだからだろ」
「…え……」
「お前の事をぐちゃぐちゃにして、ひいひい喘ぐのを聞いてみてえって、俺だって思うんだよ」
「ぐ……、」
倉持がわずかに垂れた涎を拭きながら、しばし呆然としている。まあ、いきなりあんな事をされたのだから、驚くのは無理ないだろう。
「ま、俺も所詮オオカミって事だ」






end


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