※リバっぽいです


つま先から始まって、膝、臍、腹筋、鎖骨、首筋。至る所に、沢村は口づけていく。
「どうしたんだよ」
「どうもしない」
そうとだけ言って、鼻先にまでキスをしてきた。近い。近すぎて、沢村の顔がよく見えない。ただでさえ、メガネを取り上げられてしまってあまり見えないと云うのに。
「みゆき」
沢村の声が好きだ。声変わりは確かにしていて低いのに、子供っぽくて、可愛くて、それでいて甘やかな響きを持っている。そんな声で呼ばれる自分の名前は、嫌いじゃない。
「御幸は、俺のこと好きか?」
「お前、今更そんなことを聞くの」
もう行くところまで行ってしまった仲だというのに。
「俺は、好きだ」
「知ってるよ」
「御幸のことが全部、好きなんだ」
「うん」
「でも、御幸は全部俺のな訳じゃないだろ」
「…」
「だから」
全部、俺のものにしたかったんだ。
そんなことを艶めいた声で言って、今度は髪の毛に口づけられた。
嗚呼、くらくらする。
どうしてお前は、そんなことを言うのだろう。どうして分かってくれていないのだろう。
俺はもう、とっくに、魂ごとお前のものだと云うのに!
「沢村」
「なに…っ、ん、」
沢村のやわらかな頬を両手ではさんで、口づけた。ふっくらとした唇をこじ開けて、舌で弄ぶ。
「ふぅ…っんん、」
「…、っは…、沢村ぁ、じゃあお前はさ、全部俺のものなワケ?」
「当たり、前だろ。俺は全部、お前のだよ。好きにしていい」
「へえ」
にやりと笑う。すると、いやらしいなと言われた。うるさいな。
「…俺は、別に、御幸にぐっちゃぐちゃのどろっどろにされてもいいよ。御幸の望む通りにしてくれて構わない」
「うれしいね」
これこそ女房冥利に尽きるというものだろうか。初心な沢村がこんなことを言ってくれるだなんて、たまらない。さっきのセリフを録音して、ずうっとリピートしていたいくらいだ。
「ていうか、御幸はどうなんだよっ」
「ん?ああ、」
そりゃもちろん。
「だいすきだよ」


end
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