Clap



久々に二人で遠出しよう、という事になり軽井沢へと日帰りで行く事になった。朝早くに出発して、途中のサービスエリアで朝御飯を済ませて。昼前には軽井沢に着いた。流石にまだ寒く、マフラーを巻いてきてよかった、と肩をすくめた。隣に居る銀八など、ヒートテックを2枚重ねてその上にセーターを着て、ダッフルコートを羽織り厚手のマフラーまで巻いているというのに、寒いと震えている。
「うあ…、寒ィ。お前、ヒートテック着てなくてよく平気だな」
「俺は先生みたくガリガリじゃねーからな」
先生は俺と背は変わらないのに、体重は10キロ近く軽い。抱いたら折れそうに細い、というのはこういうのを言うんだろうと思わせるような体だ。そりゃあ寒いだろうな、と頷く。
「早く入ろーぜ。つか土方ァ、今日は俺のこと銀八って呼べよ。店でお前、うっかり先生だなんて呼んじまった日にゃ、俺は先生じゃなくなっちまう」
「分かってるよ、ぎ・ん・ぱ・ち」
「…お前楽しんでるだろ」
アウトレットモールに入りジーパンを物色していると、銀八が可愛らしいレモンイエローのパーカーを着て、愕然とした様子で寄ってきた。
「どうしたんだよ、銀八」
「…土方、俺、女モノのM…入った…」
「………」
だからそんなに可愛らしい色なのか、と得心した。しかもまだ余裕がある。この様子ならSでも入るだろうが、それでは袖が足りなくなる。銀八はやたらとリーチがあるのだ。
そして一番嫌なのは、その可愛らしいパーカーが似合っていることだ。三十路前の男で、レモンイエローのパーカーが日本に何人いるだろう。
「…でも似合ってる」
「え、ホント?」
「ああ」
「…じゃあ買おうかな…あったけーし…。土方はジーパン見てんの?」
「おー。どれがいいと思う?」
「うーん…これかな…」
銀八が指したのは、明るい色のストレートジーンズ。
「じゃー履いてみっか。銀八は?」
「ああ、いや、いい。今みたらサイズなかったし」
「え?でも、」
「…俺…、いつも、女物のストレート履いてる、から」
言われて思い返してみれば、確かに銀八の履いていたジーンズはやけに足の線に沿っていたような気がする。どんだけ細いんだ。結局俺はジーンズを購入し、銀八はあのパーカーを購入していた。そのあとも何の気なしにぶらぶらしていたら、銀八が「お腹すいたな」と言い出したのでフードコートへ足を運んだ。銀八はカツ丼大盛、俺は味噌ラーメンと炒飯のセット。銀八の頼んだカツ丼大盛というのがこれまた凄い量だったが、気にせずにひょいひょいと口に入れていく。
「…相変わらずよく食うな」
「ん?ああ、まあ腹減ってるしな」
よほど燃費が悪いのだろう、銀八はとにかくよく食べる。その細い体のどこに入るんだ、といつも思う。ご飯は大量に食べるくせに太らないから、女子にはよく羨ましがられるらしい。 どこかのコマーシャルではないが、沢山食べる君が好き、とはよく言ったものだ。現に、ばくばくとカツ丼を頬張る銀八を見ていると顔がにやける。こういうのを幸せと言うのだろうな、とつくづく思った。






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -