なぁなぁ、ちょっとそこのお忍びさん俺の話を聞いてくれねぇかなぁ?

俺はさぁ、前世の記憶があるんだ。
あっ、馬鹿だと思っただろ!?嘘じゃねぇんだよな、これがぁ。前はピッチピチwwの女子高生でなぁ、そこそこ楽しい人生だったんだ。

こんな、なんちゃって戦国時代なんて…人の殺し方なんて全く縁がないくらいに平和な世の中なんだ。


四人兄弟で俺は次女。女王様な姉にへたれな弟、無邪気な腹黒妹…そして何事にも興味がない俺。
楽しかったなぁ、幸せだったなぁ…。

「帰りてぇなんて思うわけもない、甘ったるい場所なんだよ」


取り敢えず死んどけ…。
そう言って、大阪城に侵入してきた忍の息の根を止める。返り血を浴びるなんて馬鹿な真似はしない。
だって、心配性なあいつらに迷惑かけたくねぇしな!俺って偉い子!!

「ははっ、あっけねぇー」

今、命を落とした忍はかなりの手練れだ。だけど、死んだ。命はこんなにも呆気なく散っちゃうんだ…なんて。

“力こそが正義"
俺の大切な幼馴染みが口癖のように言っている言葉。正にその通りだと思う。
何かを守るのも、夢を叶えるのも…邪魔なナニかを消してやるんだ。そのためには力がいる。いこーる、力が正義なんだよ!理解できたか?
全てにおいて力が必要。力がねぇ、弱いやつなんて生きる価値すらねぇんだ。失うことに怒りを…悲しみを覚えちゃいけねぇ。
それは弱い自分自身が悪いんだからな。

こんな俺にだって守りたい奴等はいる。だから力が欲しい。誰に否定されようが、俺は…。


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「…慶次」
「んぁ?あぁ、秀吉かぁ…驚かせんなよなー」
「大して驚いてないように見えるが…?」
「うん、驚いてねーもん」

俺が人の気配に敏感なの、秀吉はよぉーく知ってるだろー。

あははーと笑ってやれば秀吉も苦笑しながらも納得してくれる。
うん、俺はいい友達を持ったな。

「でぇ、何の用だ?」
「三成が、探していたぞ」

ため息でも吐きそうな様子で呟かれた内容に、びくりと肩を震わせる。

あーやべ。


「あは…は、三成に甘味作ってやるの…忘れてた…」
「急いで作ってこい!!」

キャラ壊れてるぜ、秀吉…。
まぁ、キレた三成は怖いからその意見には賛成するけど。


「よっと」

厨に向かって歩き出すと、秀吉は安心したように笑った。
勿論俺には見えないように。

「あっ、秀吉…」
「なんだ、慶次?」

ふはははっ、三成思いしれっ!

「ちょーっと、手伝って欲しいことがあんだ!」











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何時も以上に上機嫌で甘味作りを終わらせた俺は、三成の待つ部屋へと向かう。

「…すぅっ、みぃーつなーりくんあっそびましょぉぉぉっ!!「煩いぞ、前田慶次ィィィッ!!」三成の声も大概だな!」





銀色の特徴的な髪形を揺らしながら襖を豪快に開いた青年は石田三成。
世間では凶王だのなんだの言われているが、俺にとっては可愛い可愛い息子同然の奴だ。
もう一人息子同然の奴はいるが、それはまた後で紹介しよう。
今は…



「毎回毎回、貴様は黙って来ることが出来ないのかッ!秀吉様、この男を斬滅する許可をぉぉぉおおっ!」
「斬滅禁止っ!」


死ぬ気で三成から逃げることが最優先だ!!
もはや恒例とも言えるこの鬼ごっこ(捕まることは死を意味する)は、最初女中たちを怖がらせていたが今は微笑ましく見守られる。
なんか嬉しいのか悲しいのか分かんないや…。

まっ、今日の俺には計画があるから頑張るけど!


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