真っ青な空にはまるで芸術作品みたいに雲が浮かび、風ひとつもないそんなお昼休み。
「今日は屋上で食べる?」
岬ちゃんのそんな提案に乗って、お弁当を持って屋上にやってきた。
天気もいいし気温も丁度良く、それにスカートを揺らすような風もない。
コンクリートの床に並んで座り、朝お母さんに作ってもらったお弁当を広げる。(岬ちゃんはコンビニのおにぎり)
もうすぐテストだねとか、あの子の噂聞いた?とかそんな話をしながらご飯をを食べる。
すると階段の方からわいわいと賑やかな声が聞こえてきて、視線を向けるとやっぱり、あの5人組。
私も岬ちゃんも何と無く予想ついてて、やっぱりねって笑った。
「まさかの先客!」
「一緒にごはん食べても良いですか?」
他の皆はさっさと座っているのに、わざわざ聞いてくれた松岡くんに頷いて皆でご飯。
人数が増えてみんなで円になる。
わいわい、賑やかなご飯ってあんまりないから雰囲気が凄く楽しいと思う。
「むむむさん達がここでご飯なんて珍しいですね」
「そう?今日は天気いいからなぁ、ね」
「うん、たまにはいいかなって」
松岡くんと、のんびりした会話。
可愛らしいお弁当を広げながら、私や岬ちゃんよりも女の子らしいような気がする。
「なに、あんたらはいつもここで食べてんの?」
「天気が良いとよく来てるような…」
「気紛れですけど」
「だいたいサルの道連れだけどな」
「またまたそんな事言っちゃって!なんだかんだ要っちが一番楽しんでんじゃないの〜?」
「んなわけあるか!!」
じゃれあうような塚原くんと橘くん。(本当は一方的に橘くんが絡みに行ってるだけなんだけど)
笑顔で見つめる松岡くんはまるでお母さんのようだ。
わいわいと賑やかなご飯。
喋ったり笑ったりしているせいか、いつもよりゆっくりと箸が進む。
「いいねいいねぇ〜女子とご飯!これから毎日食べよう!」
「はぁ?ヤだよ毎日なんて」
「冷たっ!」
「即答だったな」
むむむさんは?なんて聞いてくる橘くんに私も曖昧に笑って返すと「むむむさんにも嫌がられた!」と騒ぎ始める。
別に嫌なわけじゃないんだけど、毎日だとちょっと緊張しちゃうかなぁなんて。
ご飯はゆっくり食べたいし、それに岬ちゃんと二人で食べる時間も大好きだから…なんて、贅沢な選択肢。
「じゃあたまには一緒に、でどうですか」
「お、ゆうたん乗り気?」
「いいじゃんたまには」
「ゆっきーも意外と乗り気!」
みんなが賛成してくれたみたいで、たまにならいいかなって岬ちゃんも笑った。
「っていうかもうお昼休み終わっちゃいますよ」
「マジか俺まだ食ってねぇ!」
「松岡もそういうこと早く言ってよ!」
「す、すいません凄く盛り上がっていたので…」
少しだけ落ち込む様子の松岡くんを横目に、みんな慌ててお弁当を口に詰め込んだ。
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