学校が終わり、次に向かうのは祓魔塾。正直かなり面倒くさいけど、今更辞めるわけにもいかないから取り敢えず塾には通っている。内容はわけわかんない。祓魔師なんて別になりたい訳じゃないし、自分がやらなくても実際先生みたいな立派な祓魔師がいるんだからいいんじゃないだろうか。
「おはよう」
「おはよー」
塾の教室にはもう皆がいた。私が塾に通う理由って、正直これなんじゃないだろうか。学校もそうだけど、勉強云々よりも友達とのお喋りが目的だったり。一番前に座っている奥村くんが私に挨拶してくれて、私はドアをくぐって彼の元に歩み寄る。珍しくしえみちゃんはまだ来ていないらしい。
「ね、宿題やった?」
「俺は雪男が付きっきりだからな、完っ璧!」
「よし、じゃあ見せて!」
「そう来ると思ったぜ」
はいはい、と呆れた表情を浮かべたけど優しい彼は私にプリントを見せてくれる。まだ来てないしえみちゃんの席を借りて私は真っ白だった自分のプリントを埋めていく。たまには自分でやれよ、なんて頬杖をつきながら私を見る彼に適当に返事。いつものことだからさ。
「…お前はホンマに……、ちょっとはやる気出せや」
「おはよー」
「おはよー、ちゃうわ」
せっせと写す私の前には勝呂くんがいて、教室中に聞こえるんじゃないかってくらい大きなため息。
「せやからアホなんやお前は」
「うるさいなー」
「はいはいすまんな」
「うわー棒読み。そもそも勝呂くんとは頭の造りが違うんだよ、勉強しても分かんないって」
プリント写しももう終盤。チャイムが鳴るのはもう少し先だから、今日は余裕で終わる。いつもギリギリ、若しくは間に合わないか。これで今まで何回先生たちに怒られたことか。もうほんと、トコトン駄目な生徒だ。私。
「なんやまた痴話喧嘩ですか?」
「坊とむむむさんはほんまに仲ええなぁ羨ましいわ」
「こんなんと仲ええ言われても嬉しないわ!」
「何でだよいいじゃねーか」
「奥村くんも珍しく遅刻してませんね」
三輪くんと志摩くんがやってきた。椅子に座っている私と奥村くんを取り囲むように京都の三人組。話すのはいいけど私を囲むのはやめてほしい。聞き慣れない関西弁のせいか、なんか威圧感がすごいっていうか。
「みんなおはよう」
「杜山さんおはよう」
「あ、ごめんね今退くから!」
ちょうど写し終えたプリントをカバンに詰め込んで、自分の席に移動する。今日もしえみちゃんは可愛いし、隣に座る奥村くんが羨ましいのなんのって。私の隣なんか志摩くんだし。前には三輪くんと、その隣に勝呂くん。嫌じゃないけどさ、すごいんだよ、圧迫感が。
「今日の授業を始めます。まずは昨日の宿題を集めに行きますので準備しておいてください」
チャイムと同時に入ってきた奥村先生。今日は宿題もバッチリで、自信満々で差し出すと彼は明らかに呆れた表情。あ、こればれてる。写したのバレてる。
「むむむさんには後でもう一枚、特別に用意した宿題をプレゼントします」
「え、いりません」
「むむむさんの為に作ったものですよ」
「いや、もう勘弁してください」
「それは僕の台詞です」
堪えきれていない笑い声が聞こえてくる。隣の志摩くんだ。腹が立つから取り敢えず足を踏んでおいたけど、どうやら私の為に作られた宿題というのは本当らしい。冗談だろうと思って後日また奥村くんに写さしてと頼んだところそんな宿題知らねぇと返された。目の前で怪しく笑う奥村先生に平謝りするのは一体、ここにきてから何度目になるだろうか。
もしも祓魔師連載の夢主の性格が真逆だったら
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