お昼は教室でお弁当を食べるのが一年生の時からの日課で、一年生の時から同じクラスの子とこれまた日課のように食べている。
その子は私の前の席、つまり浅羽くんの椅子を借りてご飯を食べている。(浅羽くんはお昼は友達と屋上でご飯を食べているから、この時間は教室にいない)
周りからの羨ましそうな視線もウザいと一蹴、気にせずぱくぱく。
彼女、岬ちゃんは浅羽くんには興味なんてなくてそれは皆が知ってて、だからこそ誰も何も言えなくてただ羨ましがるだけ。
私もまた、その一人。
「浅羽のどこがいいんだか」
ねぇ?と私に意見を求めてくる岬ちゃんに私は曖昧に笑って返すしか出来ない。
仲はいい。
だけどこういう話をしたことはなくて、だから彼女は私の気持ちを知らないのだ。
お互い知らない事ばっかりだけど、それでも何でか居心地が良い。
暫く話し込んでいると岬ちゃんの視線が私の頭の上に移動する。
なんだろうと見上げればごめんねーと席を立ち、代わりに視界に入ってきた浅羽くん。
「盛り上がってたのにごめん」
「あ、ううん…」
声を掛けてくれた浅羽くんに緊張やら恥ずかしさでそれ以上声が出なくて、ふるふると首を振るのがその時の私の精一杯だった。
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