時刻は夕方よりも少し早い時間。
皆が帰ってきたということに気付いたのは、外から聞こえてくる賑やかな声を聞いてからだった。



「うお、もうこんな時間!?」

「…何時間話してたんだろうね、私たち」

「全っ然気付かなかったんだけど!」



あれから私と橘くんはお菓子を食べてジュースを飲みながら色んな話をした。
恋ばな、とかそういう話もしたし、本当にどうでもいいような話もして、それから橘くんと祐希くんの昔の話も教えてくれた。
そんなことで、軽く見て4時間はここで喋っていた事になる。
いやなんか、あれだな、我ながら暇人だなぁなんて。

橘くんはバスから降りてくるみんなに対して「おかえりー!」と声をかけて笑顔を振り撒いている。



「何してんのこんなとこで」

「あ、おかえり!」

「おかえり!じゃないわよ、こっちは朝からどんだけ心配したと思ってんの」



そんな岬ちゃんに橘くんと過ごしてた事を話すと、大きなため息を吐いた。



「心配して損した!」



お土産買ってきたのに、と私に袋を押し付けて、一つ空いていた椅子にドカッと腰かけた。



「あ、要っちー!ゆっきー!ゆうたーん!春ちゃーん!」



橘くんが大声で叫んだ名前に、本人たちは気付いてゆっくり近付いてくる。



「お土産!」

「…なんか腹立つ」



両手を差し出した橘くんの脳天にグサッとささったのはおもちゃの刀。
なんだよーとかグダグダ言いながらも嬉しそうな表情でみんなとじゃれあっている。
元気だなぁ、なんて。
笑いながらそれを眺めてると、大丈夫ですか?ってそんな声と小さな紙袋が上から降りてくる。
上を向くとやっぱり、悠太くんの声。
お土産です、とニッコリ笑いながら言ってくれたのは松岡くん。



「ありがとう」

「皆で選んだんですよ」



ニコニコ笑った松岡くんにつられて笑い、小さな袋を受け取った私はもう一度みんなにお礼を言った。


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