修学旅行の一日目ももうすぐ終わろうとしている。
美味しい夕飯も食べて、それぞれの時間。
修学旅行で旅館に泊まるなんて豪華だなぁって思いながら、今は美肌とかの効果があるらしい少し濁ったお湯に浸かっている。
本当は部屋についてる小さなお風呂で良かったけど、岬ちゃんに誘われたしせっかくだからってことで温泉にした。
恥ずかしい気持ちはあるけど、やっぱり広いしいつもと違うから気持ちいい。



「もう肌がツルッツル」

「なんかそんな気がするね」



ゆっくり浸かってそれから温泉を出る。
髪の毛は、ダメだと分かっていても面倒だから自然乾燥。
湿った髪のままで岬ちゃんには怒られたけど、着替えを持って部屋に向かう為に旅館の廊下を歩く。
ポタポタ、首筋にときどき落ちる水が少し冷たい。
喉乾いたね、って言いながら旅館には少し似つかわしくない自動販売機に向かう



「あ。さば」

「なんですかそれ」



自販機の前に居る祐希くんと悠太くんを見付けた。
二人もお風呂に入ってたのかまだ少し髪が湿っていてそれが、何だかちょっと色っぽい。
この時間に、パジャマではないけどこれから寝る服装で会うっていうのは新鮮で、それから少し気恥ずかしい。
お風呂上がりって言うのも余計にそう思わせるのかもしれないけど。

カップのジュースを口にする二人の横で、私と岬ちゃんも何にしようかなって悩む。



「なんかあれだね、私服って違和感。二人とも服は同じじゃないんだ」

「そんなわけないでしょう幾つですかオレたち」

「小さいときは同じだったの?」

「昔はまあ。……っていうかなんか、新鮮ですね」



じっと視線を感じて、恥ずかしいながらにそうだねって笑って返した。
修学旅行ってこういうのも楽しみの一つなんだと思う。
普段見れない姿もそうだし、やっぱりもうなんか新鮮なんだよ、とにかく。
一緒にご飯食べたりとか、寝る前にこうやって話したりだとか。
まだ寝ないんだけど。



「っていうかえらくよそ行きの格好だね」

「………まぁ、」

「……そうですね」



二人は一瞬顔を見合わせて、濁すようにそう答えた。
それに私たちも顔を見合わせていると気にしないでくださいとそんな言葉が飛んでくる。



「やっぱあいつら何かしたみたいだね」

「怒られてる声がここまで聞こえてくるよ」



夜、静かな旅館に響き渡る賑やかな声。
布団に潜りながら二人で笑う。
修学旅行楽しいなぁって思いながら、同じ部屋の子たちとしばらく乙女談義を繰り広げる。
やっぱり浅羽くんは人気者だ。


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