「残念でしたね」
「ゆっきーのせいだろ!!」
恋占いの石に挑戦した橘くんは、祐希くんに足を引っ掛けられて結局2歩くらいで駄目だった。
仲いいんだなぁって笑っちゃうと、橘くんに少し怒られる。
「みんな恋愛とは無縁に見えるのにね」
「…いやあなたにだけは言われたくないんですけど」
「浅羽とかはモテるから別にいいんだけどさ、松岡と橘と、塚原だよ塚原」
「何で俺だけ二回言ったんだよ!」
けらけら、楽しそうに笑う姿に私もつられて一緒に笑った。
そして私の視線は、側にある“人形祓い”っていうものに興味をそそられる。
何だか面白そうだと説明文を読んでいると、隣に誰かの影。
「面白そうですね」
「うん、厄除けだって」
「やってみますか」
「そうだね」
そっと隣に現れた祐希くんと一緒に、早速200円を入れて人形の紙を1枚ずつ手に取る。
とりあえず名前と性別と年齢を記入して、あとはお願い事。
やってみようとは言ったけどいざお願い事となると浮かばない。
「願い事、どうしよう…」
「いざとなると別に浮かばないですね」
「ね。普通に健康祈願とかかなぁ」
「じゃあ俺も」
結局二人で健康祈願。
年より臭いですね、なんて言いながら隣にある樽に浮かべる。
「…わ、文字だけ浮いてる」
「すごいですね」
しゃがみこんでそれを眺める。
沈んでいく紙と、水に浮かぶ文字。
すごい!と感動を覚えてずっと見ていたくなる。
「なになに二人で仲良しこよしですかー?」
絡みに来た橘くんにこれすごいよと伝えると、早速彼もチャレンジして私たちと同じ反応を見せた。
そして集合時間。
まだまだ時間は早いような気がして、名残惜しいままに清水寺を離れて宿泊先の旅館に向かった。
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