土日が過ぎて月曜日。
今日もまたいい天気。
ブレザーの胸ポケットに入れた携帯を取り出した時、ひらりと落ちる何か。
拾い上げたソレは、卒業式のときに橘くんに撮ってもらった塚原くんとの写真。
忘れてたって事を思い出した。



「おはよー」

「おはよ」



岬ちゃんが私の席で携帯を触ってて、私を見付けてにっこり笑う。
前の席にはもう悠太くんもいて、向かい合った2人で何か話してたみたいだった。

…――また、この気持ち。



「塚原くんってもう来てる?」

「浅羽は今日一緒じゃないの?」

「今日は一緒じゃない……今来たみたいだけど」

「塚原探してるとか珍しいね」

「うん、これ渡してなかったなぁって思って。いらないかもしれないけど」



ポケットから出した写真を2人に見せる。
納得したように頷くと、岬ちゃんに早く行くように促された。
塚原くんのところに行くと、普通に挨拶してくれてちょっと安心。
もう何事も無かったかのようにケロッとしてるみたいで、塚原くんが逆に不思議そうに私を見てた。



「なんだ?」

「これ渡すの忘れてて」

「……ああ、そういや撮ったっけこんなの」



写真を見て薄ら笑う。
あの猿変な事ばっかするからなぁって、その口調はどこか楽しそうにも見えた。



「いらなかったら捨てちゃってね」

「んな事しねーから」

「塚原くん優しいもんね」

「優しいとか優しくないとかじゃなくて、写真捨てるとか普通にする奴いねぇだろ」

「そっか」



口調もいつも通り。

もうすっかりいつもの塚原くん。



「つーか俺がこれ貰っていいのか?」

「うん、いいよ」

「むむむは?」

「あ、うん大丈夫、二枚あったから一枚はもらったの」



いつもみたいにちょっと照れたように視線を逸らす塚原くんに、やっぱりこっちの方がいいなって思った。

席に戻ろうとすると目に入る。
なんでもないことかもしれない、けど。

…――楽しそうに話す二人を見ると、どうしたらいいのか分からなくなって何だか少し胸がキュッとなる。


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