悠太くんは男の子と、その後に来た女の子と一緒におりがみをはじめた。
だけど私の絵があまりに酷かったらしく、園児たちに笑われてからかわれて、結局みんなでお絵描き。
…いや、絵が下手なのは自分が一番わかってるけど…。
結構な自信作もことごとく笑われ、もう自信は喪失。(楽しそうならそれでいいんだけどさ…私の絵って一体…)
おままごとの方で何か一騒動があったみたいだけど、それもかおり先生によっておさまっている。
やっぱりかおり先生、すごいなぁって思った。
「みんなおやつの時間よー!」
かおり先生の声に園児たちはきちっと片付けをはじめ、決まっている場所に座った。
「あら…他のみんなは?」
「あ…トイレ行ってくるって言ってました」
「ありがとう、じゃあ呼びに行ってこようかしらねっ」
そう言って笑ったかおり先生は、ふんわりと笑って歩いていった。
呼びに行くって…男子トイレに行くの?と疑問と不安を浮かべながら、一緒に食べると約束した男の子の隣に座った。
反対側にはさっき一緒にお絵描きした女の子。
おやつに配られたのはクッキーで、みんな笑顔で食べている。
「ね…ねーちゃんさ…」
「ん?」
「…あの兄ちゃんのことすきなのか?」
「……え!?」
ボソッと呟く男の子。
あの兄ちゃんは、たぶんさっきまで一緒にお絵描きしてた悠太くんのことで。
「おねえちゃんまっかだよ?」
「え、いや…」
「お兄ちゃんのことすきなんだ!」
「あの、そんなんじゃ、」
「てれなくていいわよ!わたしがきょうりょくしてあげるわ!」
「……」
今の子はこんなにもマセてるんだ…と、時代の移り変わりをひしひしと感じる。
やる気満々の女の子と、隣で黙り込む男の子。
「もうみんな食べおわってるよ」
「おっ…おまえなんかにまけねーんだからな!!」
「…何の勝負を」
「……ごめん気にしないで」
悠太くんにライバル意識むきだしのようで。
これは多分自惚れとかそんなんじゃないと思うんだけど……その………。
…私の事好きになってくれたんだよね。
……多分。
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