今日は朝、お母さんがお弁当作れなかったって言っててお昼はコンビニで買う事に。
たまにあるんだけど、お母さんはいつもちょっと多めにお金くれるから、お菓子とか買えてちょっと嬉しかったり。(お小遣い月5000円の貧乏学生です)
パンにしようかサンドウィッチにしようか、迷ってたけどパンの棚にはあんまりなくて結局サンドウィッチ。
「おはよう岬ちゃん」
「おはよー。あれ、今日コンビニなんだ」
「お母さん寝坊してた」
私の席に座ってた岬ちゃんに挨拶をして、鞄を机の横に掛けた。
お昼、岬ちゃんが私の前の椅子を借りて一緒にご飯を食べる。
岬ちゃんはお弁当で、私はコンビニのサンドウィッチとお茶。
足りるの?って聞かれたけど多分足りないからマドレーヌも買ってきた。(準備はバッチリです!)
「…あ」
「……ん?」
「……何?」
「いや………それ……」
悠太くんの視線が私のサンドウィッチに向いてて、点数のシールを指差した。
「ん、いいよ」
「…浅羽これ集めてんの?」
「オレじゃなくて祐希が」
「祐希くん?」
サンドウィッチに付いた2点のシールを剥がして悠太くんに渡す。
人差し指に貼りつけたそれを掴んだ悠太くんの指が、微かに触れてドキッとする。
私だけなんだろうなって思うとちょっと切なかったけど、ドキドキと高鳴る胸はそうとは感じていなかった。
「今停滞期なんで良かったらまたご協力お願いします」
「停滞期?なにそれ」
「まぁ色々ありまして…」
「…そっか…うん、じゃあまたシールあったら持ってくね」
「ん、私も協力したげる」
助かります、と軽く頭を下げて教室を出ていった。
そういえば祐希くんってアニメとかマンガが好きだって何処かで聞いたことがある気がする。
今は確か、お皿だったっけ。
…その為にポイント集めてるんだって思うと、なんだかちょっと可愛く感じた。
「そういえばさ、教育実習どこ行くか決めた?」
「あー…ううん、まだ決めてない。岬ちゃんは?」
「私もまだ。郵便局とかスーパーとか…保育園は大変そうだしなぁ」
頭を悩ませてみるものの結局決まらない。
提出期限は今日の放課後で、お昼休みももうすぐ終わるから次の休憩で決めることにした。
授業中も考えてみる。
でも結局どこでも良いような気がして、ここっていうのは決められない。
「どこがいいかなぁ…」
「いっそもう消防署とか?」
「いやそれは止めた方が…」
ひょっこり現れたのは祐希くん。
目が合って何かと思えば「2点のお礼を」って言ってペコッと頭を下げた。
「あんた達もう決めた?」
「一応、ひだまり幼稚園に」
「幼稚園!?」
「…この人失礼なんですけど」
爆笑し出した岬ちゃんを見た祐希くんが、私に向けてそう言った。
ごめんねって代わりに小さく謝れば、感情の読み取れない微妙な表情で頷いた。
「来れば良いんじゃないですか」
「なにが、」
「ひだまり幼稚園」
「子供の相手は疲れるからなぁ」
「消防署よりはマシかと…」
うーん、と。
どうしよう?って考えてみる。
「まぁいっか。どこでもいいし」
「そだね」
祐希くんはひょろひょろと歩いていって、私たちは用紙に“ひだまり幼稚園”と書き記した。
よかったね、と笑いながらくしゃっと私の頭を撫でた岬ちゃん。
嬉しさと恥ずかしさで、顔が赤くなるのが自分でも分かった。
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