通学してきた下駄箱で、塚原くんに会った。
昨日ちょっとだけ話したけど話し掛けていいのかなぁって思ったけど、塚原くんから話し掛けてくれてなんだか嬉しかった。
おはようって挨拶だけど。



「昨日助かった」

「あ…ううん、塚原くんこそ、お疲れ様」



大変だねーぼちぼちだなーなんて下駄箱で話してると、後ろから恐らく松岡くんであろう声が聞こえた。
目の前の塚原くんが何故か固まっているのが目に入ったけど視線はそのまま後ろ。



「おはようございます…」

「……おはよう」



わぁ、っていうのが印象。
恥ずかしそうにリュックの紐を持って、顔を赤らめているそれは紛れもなく松岡くん。
だけど、明らかに違うそれ。



「髪、切ったんだね」

「や、やっぱり変ですかね…」

「ううん、や、似合ってるよ、ほんとに」



かっこいいね、と出た言葉に更に恥ずかしそうにする松岡くん。
隣では何故か塚原くんが松岡くんを見て爆笑し始めている。
やっぱり仲が良いと、こんな変化が面白いと思えてしまうのだろうか。

教室に入るとまたいつものようにみんなに挨拶して自分の場所に座る。
あ、今日は日直なんだ…そんな事考えながら一時間目の準備。
午前中はいつも通り普通に勉強して、午後はどのクラスも文化祭の話し合いや準備の時間になる。
話し合いはすぐに終わって、準備の時間はあっち行ったりこっち行ったりと書記の仕事を全う中。
取り敢えず校舎内に貼る宣伝用のポスターのコピーを頼まれて職員室に向かう。
カラーで20枚、か。



「すいませんコピー機借ります」

「どーぞ…あ、でも今あの子たち使ってるからその後ね」



あの子たち、と言われたほうに視線を向ければ、浅羽祐希くんと橘くんがいた。
コピー機叩いたり突然静かになったりあの様子だと、どうやら困っているらしい。(先生助けてあげれば良いのに…)



「…大丈夫?」

「あ」

「あ!いいとこに来た!コピーの仕方わかんねーんだよーこのままじゃ要っちに怒られるー!」



助けて!と、差し出された原本。
必要な分をコピーして差し出すと、助かったこれで怒られずにすむ!天才!なんて大袈裟な反応。



「まだ出来ねーのかよ」

「いや出来たし!なめてもらっちゃ困るよ要っち!」

「むむむさんがやってくれたんだけど」


塚原くんと目が合う。
祐希くんと橘くんはクラスの子たちに呼ばれて教室に戻っていく。
塚原くんは後輩に捕まって生徒会室に向かっていく。
忙しそうだ。
けど急ぎ足が一瞬止まると、塚原くんは体を私に向けた。



「悪ぃな」

「や、大丈夫だよ」



頑張ってね、と声をかけると一瞬小さく笑って、今度こそ生徒会室に向かっていった。


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