7月7日、今日は七夕。
1日何事もなく平凡に過ごして、夕方は友達と七夕のお祝いしようと約束して、今待ち合わせ場所にいる。
「おまたせー」
夏らしいラフな格好で現れた岬ちゃんは、夏がよく似合うと思う。
これから二人で小さな公園に向かう。
その公園の真ん中にはベンチと机が置いてあって、去年もそこで二人で小さな七夕祭りを開催した。
コンビニでジュースとお菓子買って、うんもうバッチリ。
「えー、なんかもう誰かいるっぽいんだけど」
「あ、ほんとだ」
いつもは静かなそこは、珍しく賑やかそうな声が響いていた。
どうしよう取り敢えず行ってみようか、となって近付いていくと、見慣れた人たちがそこに居る。
「何してんのアンタたち」
彼女が投げ掛けたその言葉に、そこにいた6人が一斉にこっちを振り向く。(あ、みんな私服だ)
一人、見慣れない小さな女の子がいて、何故かちょっとだけ睨まれた。
皆はもう片付けを始めていたらしく、机の上は大半が片付き始めていた。
松岡くんがニッコリ笑ってこんばんは!と元気に挨拶してくれて、私は笑ってそれに返す。
「そっちこそ何してんだよ」
「今から二人で七夕祭り」
ね、っていう問いかけに頷いて返すと、質問を投げ返してきた塚原くんは呆れたような表情を浮かべた。
「じゃあこれも」
「残しちまうの勿体ねーしな」
「うんあげるよ残り物だけど」
「残り物とか言うなよ!」
浅羽くんが持った袋を私に渡してくれる。(と、言うより押しつけられた感じだけど)
こっちは多分弟くんのほうで、二人並ぶとほんとにどっちがわかんない。
私服とか微妙に違うんだなぁって小さな発見もしてみたり。
「考える事一緒なんだな」
「これも書いたらいいよ」
「短冊…」
「ペンもあるから」
去年は星を眺めながら、こっそりお願い事をしただけだった。
浅羽くんと同じクラスになれますように、と。
そう思うとお願い事は叶ったんだなぁなんてしみじみ思った。
「まぁ、ありがと」
「楽しんでね」
「あ、うん…ありがとう」
浅羽くん(今度はお兄さんの方)が私を見てそう言ってくれて、すごく緊張した。
だけど凄く、嬉しい。
小さな七夕祭りは去年同様に地味だったけど、なんだか凄く楽しかった。
「なんて書いたのー?」
「内緒」
うん、内緒。
少しでも仲良くなれますように、なんて恥ずかしくて言えるわけない。
短冊に書いたお願い事が今年も叶うといいなぁと思いながら、笹が無かったから近くにあった小さな木に括り付ける。
浅羽くんは、一体何をお願いしたんだろう。
そんなことをぼんやりと考えながら、空に浮かぶ天の川を眺めた。
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