君と共に





「ただいま〜!」


返事がないので誰もいないことがわかる。

明日は銀ちゃんの誕生日。
二人で祝いたいねって言って、
神楽ちゃんと新八くんと定春をお妙ちゃんに預けたんだっけ。


「銀ちゃん遅いなぁ…」


時計の時刻は10時を過ぎていた。
パチンコに夢中になりすぎているとか。


買ってきたケーキの箱を机の上に置く。


この時期は苺がない。
だから、モンブランを買ってきた。
大ぶりの栗がちょこっとのってるやつ。

銀ちゃん…喜んでくれるといいな。






…けど、いつまで経っても銀ちゃんはこない。

もうすぐ、10日になっちゃうよ。


あと、15分。


ケーキを箱から取り出し、皿に移す。

紅茶も用意して準備は完璧!


あと、10分。


もう、来ないかな。

諦めて自分のケーキをフォークで一口サイズに切り分ける。


「来ない銀ちゃんが悪いんだから…」


そういって一口モンブランを食べた。



否、



「おいおい、まだあと10分あるのに
主役より先にケーキをいただこうなんて
ひでーこと考えるなァ。」


襖が開いて、愛おしい人の姿が目にはいる。


「銀ちゃ…」

「いっただっきまーす」


銀ちゃんはソファに座る私の後ろに回り込む。
そして抱きしめるようにして
私のケーキを食べた。


「うん、美味い。」


低音の落ち着いた声が耳元をくすぐる。
銀ちゃんの口元の緩みだけが見えた。


「銀ちゃん、それ私のケーキ…」

「銀さんより先に食べようとする名前ちゃんが悪いんですぅ。」


銀ちゃんはそう言って、私の隣に座った。
そして、向かい側に置いてあったケーキを自分のほうへ引き寄せる。


「いっただっきまーす。」


しばらく銀ちゃんがケーキを喜んで食べる様子を眺めてると、
銀ちゃんの口元にクリームがちょん、と
ついていた。


銀ちゃん、と呼ぶとクリームを口元につけた銀ちゃんが私のほうを向く。


「ついてるよ」



私は笑って銀ちゃんの口元のクリームを舐めた。
真っ赤になる銀ちゃん。
それを見てもう一度笑うと、
お返しだ、と言って銀ちゃんにキスされた。


時刻は10日、5秒前。




キスが終わったのはその5秒後。


「銀ちゃんお誕生日おめでとう!」
「ああ、来年もまた二人で祝おうな。」




銀ちゃんお誕生日おめでとう!
11月になる前には書き上げようと…

10日はだいぶ過ぎてしまったんですけどね。


軽く説明しますと、
名前ちゃんと銀ちゃんは恋人同士。
で、
銀ちゃんが自分の誕生日にも関わらず遅くに帰ってきて…って感じです。
10日になる瞬間を二人、キスで迎えるというのが書きたかったのです。




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