「名前ちゃん、この髪飾り似合うと思って…」
「わあ、可愛い〜!」
「名前ちゃん、甘いもの好き?
もしよければ貰い物なんだけど金平糖が…」
「わ〜!私金平糖大好きです〜!」
「名前ちゃん」「名前ちゃん」
「人気だな、お前の妹。」
「そうですねィ。」
俺の妹名前は、今日急に武州から江戸にきた。
1週間、俺をちゃんとやれてるのか監視しにきたらしい。
…ったく、余計なお世話でィ。
近藤さんはそんな急に来た妹を許してくれた。
「可愛いな、名前ちゃん。」
「まあ俺の妹だからねィ。」
「まあお妙さんには敵わないがなっ」
「勝手に言ってろィ。」
俺はしばらく妹が隊士たちに囲まれているのを見ていた。
夜になり、俺は仕事を終えて部屋に戻った。
「おかえりー、総にぃ。」
近藤さんにお願いして同じ部屋にしてもらったのはいいが、
布団が独占されている。
俺だって布団に寝っころがりたいっつーの。
紳士な俺は名前に布団を譲って軒下から月を眺めていた。
…今日は満月でィ。
「疲れたー、総にぃ〜」
「お疲れさん」
「真選組って女に飢えた奴ばかりなわけ?
ちょっと笑えばイチコロな奴ばっか。」
あざ笑う、という表現が似合う表情だ。
昼間に見せた笑顔はどこえやら。
俺は分かってましたがねィ。
でも疲れるんならそんなことしなければいい。
「バカだねィ、お前は。」
「そういえば土方さんはまだマヨネーズ丼食べてるの?」
「ああ、飽きずに毎日食べてらァ。」
「ふふ。そっかー。じゃあ明日マヨネーズにからしいれようよ!」
土方のことを考えて黒い笑みを浮かべるところ、
誰に似たんだかねィ。
「ああ。いいでさァ。」
「「ははははは」」
からしを口いっぱいに頬張る土方を想像してふたり笑った。
「ところで、なんで来たんでィ。」
「ははははは…って、え?」
名前の笑顔が固まった。
「急にどうしたんでさァ。」
「…笑わない?」
「ああ、笑わねェよ」
「…さみしくて。」
「ぶはははは」
「笑わないって言ったじゃん!」
「ああ、すいやせん。」
いきなりどうしたかと思ったら似つかわしくない台詞を…
そりゃ笑うだろうよ。
「姉上がなくなってから近所のおじさんちに引き取ってもらったけど…
なんか…合わなくて。
ってまあこういう訳だから!
…だからちょっとだけおいてほしいの。」
「そういうことだったなら、早く言えバカ。」
名前は俺の枕に顔を埋めた。
「だって、そんな理由じゃおいてくれないかなって…」
今にも泣きそうな声で名前は言う。
「近藤さんはそんな奴じゃねェでさァ。
一週間とはいわず、ずっとおいてくれるぜィ?」
「ほんと?!」
名前は顔を勢いよくこっちに向けた。
嬉しそうな顔をして。
「ただし、剣術をならわなきゃねィ。
お前はは女中より剣士のほうが似合うからねィ。」
「確かにそうかもね。
じゃあ総にぃが剣を教えてくれる?」
「ああ、すぐに一流の剣士にしてやらァ。」
クスリと名前が笑うのにつられて俺も笑った。
「明日早くから特訓でィ。
子供は早くねなせェ。」
「…総にぃ。」
「なんでさァ。」
「昔みたいに一緒に寝てくれる?」
「はァ、仕方ないねィ。」
障子は軽く開けて電気を消し、布団にはいる。
俺が名前の布団に入るとぎゅっと抱きしめられた。
「総にぃ、いい匂い…」
そういって名前は寝てしまった。
俺も名前を抱きしめ返し寝た。
何時の間にか真上まできた月は障子と障子の間から優しく俺たちを照らした。
だって兄妹だから
(考えることは同じ)
「総悟ォォオオオ!」
「なんでさァ。剣の練習中に。」
「マヨネーズにからし入れただろォォオ!」
「入れようと思ったけど先に入れられてまさァ…」
「誰が一体…」
「さあねィ」
1000hit Thanks!
いちごみるく様に捧げます。
妹、逆ハー、甘なんですがどうでしょうか。
逆ハー要素が…
こんな作品でよければ。
いちごみるく様のみお持ち帰り可