悪夢の始まり





部屋を片付けていると、ふと机の上に置いてあるカレンダーが目に入った。


「あれ...沖田隊長の誕生日って...」

「今日でィ」


後ろを振り向かずとも分かる、この独特の喋り方。


「まぁさぁか忘れてねえよな」

「まさかまさかまさか!覚えてましたよ?」

「当たり前でィ。
あーあ名前が何をくれるか楽しみだなー」


そう言って沖田隊長はバズーカを持って副長室へと向かっていった。


何も用意していない上に、既にお昼は過ぎている。
私はとりあえず山崎さんに相談しに行った。





「名前ちゃん用意してないのォォオオ?!
やばいよ、やばいって!!」

「ですよねですよね...
あ、あの山崎さんは何を用意したんですか?」

「ミントン一緒に出来たらと思ってね。
ほら、ラケット持ってる人ってこの屯所内には俺しかいないでしょ?だからラケットを...
あ、名前ちゃんもやる?ラケットあまって...」


私は山崎さんは諦めて近藤さんに聞きに行くことにした。






「局長失礼します。名前です」


部屋に入ると局長はコロコロを使って部屋を掃除していた。


「どうしたんだい名前ちゃん」

「あのですね...」


事情を話すと、局長は相槌を打ちながら聞いてくれた。


「まあ、総悟のことだから名前ちゃんからもらったものなら何でも喜ぶんじゃないか?」

「そうですかね...」

「そういうもんさ!ガハハハハハハ!」

「なるほど...」


失礼しましたと言って局長の部屋を出ていく。


副長に聞きに行こうと思ったが、どうせマヨネーズとしか言わないだろう...




そして考えている間に、夜になってしまった。


...やばいぞこれは。



「おーい名前。入るぞー」


きたきたきた、大魔王様降臨...


はい、という前に入ってくる。
女の子の部屋に断りなしで入るなんて...なんてやつだー!


「さあて。誕生日プレゼントはなにかな名前」


顎に手を添えて、持ちあげられる。

...顔近い...。



どうしよう、ないなんて言えない...


「誕生日プレゼントは...わ...」

「わ?」

「私でーす、なんちゃって」


あははははは...は?
苦笑いしていると唇に沖田隊長の指がふれた。


「じゃ、問題ねえよな?」


次の瞬間唇に柔らかさを感じる。
あまりに一瞬だったので目を閉じる暇もなかった。
沖田隊長の整った顔が目の前にある。


顔が...あつい...
私はどうしてしまったんだ...
もしかして、私は沖田隊長のことが...いやいやいや...大魔王様なんか...
確かにかっこいいけど!!剣の腕もたつけども!!
いや、でも嬉しくないわけではない。
というか、むしろ嬉しいような...
やっぱり沖田隊長のことが...


そうこう考えていると沖田隊長の唇は離れていった。


「目ェ瞑れ」

「えっ?」

「瞑れ」


ぎゅっと目を閉じる。
だが、しばらく待っても何もない。

私は目を開けると、顔に手をあてている沖田隊長がいた。


「沖田...隊「お前がいけねえんでさァ」


「んな緊張した顔されたらこっちまで緊張するじゃねえか!」


確かに沖田隊長の顔はちゃんとは見えないがうっすら赤い気がする。


「やめた。今日のところはこれで終いにしてやらァ。
明日から俺の忠実なる下僕として働いてもらいまさァ」


沖田隊長はそう言うと、部屋を出ていった。






次の日、朝起きると目の前には大魔王様がいた。

「下僕ならご主人様を起こしに来なきゃダメでしょう。
あーあ、これはお仕置きしなきゃいけませんねィ」


こうして、悪夢は始まった。




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