帰り道





「沖田くん…?
…っ、沖田くん沖田くんっ!」


私は今、全力で沖田くんを追いかけている。







沖田くんとは幼馴染で、

彼女というわけでもないのだが学校への登下校はいつも一緒にしていた。

今日は私が日直だったので先帰ってていいといってあったはずなんだけど…




…もしかして待っててくれた?






とりあえず共に日直の山崎くんに謝って、私は沖田くんを追いかけている。












「沖田くんっ!」


学校の門を少しでたところで私は大声で呼び止める。



…やっと立ち止まった



「沖田くん、どうして…?

先帰っていいって私言ってあったは…「一緒にっ…!」

「名前と一緒に帰りたかったんでさァ…」



沖田くんは振り返ってこたえた。

顔は逆光であまりよく見えない。





「だから待ってたんでさァ。

そしたらザキと二人でいて…

ザキがなんか言ったことに対して顔を赤らめてるのが見えて…

なんか、それがなぜだかすごくイラっとして…」





あっ、それは…



「どうせザキのヤツに告白されたんだろィ?

今まで俺が知らなかっただけで、

お前もザキのことが好きで…

…両想いになってよかったじゃないでさァ。

だから邪魔者は消えようと…「違う!」




違うよ、沖田くん。

あの会話はね、






"名字さんってさ、沖田さんと付き合ってるの?"



か、顔があつい…
冷静にこたえろ、私!



"えっ?や…山崎くん…いきなりどうしたの?"



"いや、いつも一緒に帰ってるから付き合ってるのかなってね"



私と…沖田くんが?



"そんなわけないわけないっ!

あの沖田総悟だよ〜?

沖田くんは私なんかよりずっと可愛い人と付き合うとおもうよ?"



笑っていうが、内心結構つらい。



"…もし今仮に沖田くんが誰かと付き合ってたら、

私は沖田くんを応援するし!


だって私…"
















「沖田くんが好き!」











そう。私はずっと…

ずっと前から沖田くんに片思いしてたんだよ。






「聞こえねェでさァ。

もう一度言ってくだせェ…」









「沖田くんが好き…大好き!」










…私はその場に座りこんだ。

目からは涙がでて頬を伝ってスカートの上に水玉模様をつくった。










「…俺も名前が好きでさァ。」









いつの間にか近くで沖田くんの声が聞こえて




顔をあげると




笑顔の沖田くんが近づいてきて





唇に柔らかいものが触れたのを感じた。




「沖田…くん?」

「…総悟。

これからはそう呼びなせェ…」

「えっ…?」

「…これからはただの幼馴染じゃなくて彼氏、彼女でさァ。

分かったらほら…手…」


私は沖田くん…

いや、総悟の手をとった。


「じゃっ、一緒に帰りやしょう!」


私たちは立ち上がって帰宅路を歩く。



いつもと同じ帰宅路なのに、

今日は違うように見えた。



(すいやせん、実は名前が俺のこと好きなの知ってやした)
(えっ…じゃあ…)
(名前に告白させたくて…)
(総悟の意地悪…)




はい、初沖田さん!

ちょっとこういう青春っぽいの好きなんですよね。

沖田さんは山崎くんのを利用してヒロインちゃんに告白させました、ということ。

あの、走って逃げたのは沖田さんの演技って設定。

やっぱり沖田さんはサディストでなきゃねっ!(




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