山崎退の場合





「今日もあんぱんなの?」

「張りこみの時はあんぱんと牛乳って決まってるからしょうがない」


退くんは相変わらず外の様子を見ながらあんぱんを頬張っている。


「そんな偏食してたらいつか倒れちゃうよ?」

「じゃあ、」


退くんがこっちを向いて一言言うと、また外のほうに目を戻してしまった。


「えっ、退くん…それって…」


退くんはなにもこたえなかった。

が、退くんの耳が徐々に赤くなっていくのがこたえだ。


「うん、もちろん!」


私はそうこたえて、退くんを後ろから抱きしめた。





「じゃあ、毎日俺のために栄養満点のご飯作ってくれる?」







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