弁当を食べ終わった、ちょっとの時間。いつもなら二人で木に背中を預けながら、色んな話をするのだが、今日は違った。


「俺、昼前の授業体育だったから、眠い…」
そういって、燐が芝生の上にゴロンと横になったのだ。
ただ、腕を枕にするため、何か寝にくそうだ。それを見ていた雪男は、「兄さん。」と彼を呼んだ。
「なんだ?」
顔だけが、雪男をみる。
膝をぽんぽん叩きながら、「僕の膝を枕がわりに使ってよ。」そういった。

最初、燐は戸惑いの色を出した。そして、顔を真っ赤にし、
「そっそんなこと出来るかっ!」と、言った。
それもつかの間、雪男の有無を言わせない、あの微笑みに負けた。戸惑いながら、雪男の膝に燐は頭をのせて、横になったのだった。最初、雪男の膝の上で寝やすい場所を探していた燐も、いい場所を見つけたのか、すでに寝入っている。


柔らかい風が、2人の髪を揺らす。その風に吹かれながら、雪男は本を読んでいる。だが、膝にのっている燐が動いたことによって、それは終えられた。

「兄さん?」
「…んむぅ。」
「かわいいなぁ。」
ぽそっと、雪男は燐を見ながらいった。起こさないようにそっと、自分の髪とは少し違う、それを優しく梳いた。燐が少し動く。
顔が雪男のお腹にあてられる。雪男はそれに少しびくっとしたが、気にせず、髪を梳いていた。
今は隠されている、人には生えていない尻尾を、触ろうと思ったがやめた。


「ふぁ…。」
本を読んでいたためか、眠くなってきた。雪男も寝ようと、木に背中を預け本を横に置いた。


木々に隠れるように眠る双子は、とても安らかだった。
片方はいつものポーカーフェイスを、惜しげもなく崩して眠っているし、もう片方は、素行が悪く、怖いと恐れられている。だがそちらも、普段の様子からは、見られない位、年相応の、もしくはそれより年下に見えるくらいの顔をして眠っていた。


「あれ?奥村くんと、若先生じゃないですか?」
「本当や。」
「あ、でも眠ってますよ。」
「可愛らし顔して眠って。」
眠る双子の前に勝呂、志摩、子猫丸はそういってしゃがんだ。
双子が起きる様子はない。だが、眠っている二人を起こすと、後が怖いのでそのまま立ち去った。





予断だが、学園の何人かに寝ている所を見られていたらしく、『奥村兄弟の寝顔は可愛い』と噂になった。
ついでに、雪男がいとおしそうに髪を梳いて、燐の頬にキスをしたのをバッチリ見られていたという。のちに、2人の関係がばれて、微笑ましく見られるのは、また別の話。


ひざまくら



*****
あとがき
こんにちは。お初にお目にかかります。餅のりと申します。青エクのサイトでは初めて企画に参加しました。とても楽しく書かせていただきました。皆様のご期待に添えたか分かりませんが、少しでも萌えて頂けたら幸いです。
それでは、失礼します。
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