長編 小説 | ナノ
プロローグ


自然と人工物で溢れた世界。多くの生き物が生きていく自然なるこの世界で中心とされていたのは、人間の手によって建立された帝国という巨大都市だった。
人間、吸血鬼、獣など多くの存在が裕福に暮らすと言われる都市だが、それはごく一部でしかない。巨大都市の大半を占める、巨大な城である。
城には人間以外の入出を断固拒否しており、その城の中には多大な人数の兵士と、城で働く奴隷がいた。城に入るには、人間であることか、人間の奴隷であることだった。
裕福と見せかけた、人間に支配された政治のようなものだった。
けれど吸血鬼も、神の眷属と言われる存在すらも彼らには逆らえなかった。それは、城にいる人間には”神之御業”と呼ばれる能力を持つ者がいたからだった。
”神之御業”とは、全てのものに対し、何らかの能力を働きかけるものだった。小さなものから世界を揺るがすものまで、その城に集まっていた。
誰も帝国には逆らえなかった。
仮初めの裕福を嫌い、帝国から出た者たちは貧しい生活を送りつつも、己の種族を守り全うに生きていた。






これは人間以外でありながら”神之御業”を持ち、自身の種族からも畏怖され、孤独となりながらも世界で生きることを望んだ相反する存在。
互いが存在しなければまともに生きられない、狼と兎の物語―。
幸福とは。自由とは。生きるとは。



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