長編 小説 | ナノ
プロローグ


それは歴史に残る驚愕な出来事であり、人生が一変する狂気の歯車が回り始めてしまった瞬間だった。
およそ百年前の話。
ある国に突如異質な能力を持つ者が現れた。当時その者の存在は大ニュースとなり、多くのメディアを集めた。取材を受けたその者は、生活中不意に能力が使えるようになっていたと言う。
人々が思い描いていた”超能力”とは桁違いの力であり、それは代償を支払わなければ自身に返ってくるというリスクのあるものだったが、その力は人々に新たな可能性を見せた。
その者が原点としてその国では次々と能力を持つ者が現れた。不可思議なレールを走るように、人々は運命を大きく曲げていった。
能力の発生の原因、意味、そして何故このような突然変異が急激に訪れたのか。政治家、研究者など多くの人々が能力について調べたがその真実は未だ明かされない。
最初は能力に畏怖し、隔離すべきだという一般人の声もあったが、政治家は新たな法律を作り、市民の怒りを徐々に静めていった。
未だなお不明の能力。最も不可思議な点は、この能力は”日本”という国でしか現れないということだった。
政治家は、この能力と代償を持つ者たちを”魔月(マツキ)”と名称した。
今となれば日本各地で飛び交う能力。一般人も目の前で起こる不可解な現象を、年を重ねるごとに恐怖心を忘れ、この違和感を忘れつつあった。






それが人類存亡の危機ともいえるほどの最悪の災厄の予兆であったということも知らずに。
彼の国より始まる終焉の幕開けが今、起きようとしていた。



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