畑仕事をしようと出かける途中、空から政宗様が降ってきました。





   竜の夢騒動




 夢を見た。

 鳥になる夢だ。

 あんまり気持ちよかったんで、なんだか俺も飛べる気がした。

 窓に近寄った。

 窓の外は、風がひんやりして気持ちよかった。

 うん、wanderful。

 空は快晴、夢と一緒の空。

 多分これも夢の続き。

 そのまま飛び降りてみた。








 あまりにも急な出来事だったため、小十郎の思考が止まった。
 そのまま政宗は大の字に手を開いた状態で落ちてきた。
 やばい、受け止めきれな…


 どすんっ

「がふっ」

 政宗は小十郎の真上に落下した。そのまま二人して倒れる。小十郎は頭を地面に打ち付けてしまった。くぐもった声が漏れた。







 なかなか気持ち良かった。


 あ…ああ、小十郎か。

 せっかくだ、普段ならできないようなことしてからかってやるか。







「何をしているのですか、政宗様!」

 小十郎が頭を押さえながら、政宗を叱るべく起き上がろうとすると、政宗と目が合った。政宗はニヤリと、悪戯を思いついた子供のように笑うと、そのまま小十郎に抱きついた。

「っな、何を…」

 当然動揺する小十郎。政宗は小十郎の耳元でささやいた。

「愛してるぜ…小十郎」

 ぼんっと赤くなる小十郎。小十郎には見えない位置でしてやったりという顔をした政宗は、小十郎の耳を甘咬みした。つつ…と政宗の手が小十郎の頬をなぞる。

 いよいよもって混乱と羞恥でパニック状態に陥った小十郎。止めとばかりに政宗はまた少しかすれた低音ボイスで名前を呼んだ。

「小十郎」

 その瞬間小十郎のなかの何かが壊れた。

「うわああああああああああああああ!!」
「ぐはっ!」

 小十郎は政宗に昇竜拳を食らわせると、畑を爆走して去っていった。その顔はリンゴのごとく真っ赤だった。

 一方吹っ飛ばされた政宗は、痛むあごを押さえながら叫んだ。

「夢じゃなかったのかー!」









おまけ

 その後、政宗はmy畑を5周してクールダウンした小十郎に小一時間説教されるはめになった。

「まったく貴方という人は、何度無茶をするなと申し上げれば…」
「ん、小十郎。俺がお前にしたことには触れねえのか?」
「!!んなっ!」
「ちょ、おい叩くなって…顔が赤いぞ?」
「政宗様〜?」
「うわっごめんごめんってあああああああ!」
「反省してくださいっ!!!」
   
  




  あとがき


 無性に鳥になった(なろうとした)筆頭が書きたくなりました。
 自分で書いといてなんですが、筆頭はこんなにアホの子ではないと思います。
 それ以前に、寝室の窓から飛び降りるのっていろんな意味で無理です。城だし。
 まあそこらへんは筆頭クオリティで(ヲイ
 個人的には小十郎が可愛くなったので満足です。
 中井さんのあの声で耳元でささやかれたら死にます!かっこよすぎるのですよ…
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