手と手
つないでみる/三幸 ハイタッチ/幸佐 握手/政兼 約束をしよう/梵小 指輪/馬趙 Title:勿忘草(PC) つないでみる(三幸) 暮れなずむ道を歩く。 冬の空気はさらりとして冷たい。吐いた息は白い。 寒くて思わず身震いをすると、隣から伸びてきた手の平が、私の手の平を包み込んだ。 「こうすればましだろう」 じんわりと伝わる熱。照れ隠しか少し早くなる足取りと、三成殿の赤い耳。 思わず笑みが零れた。 ハイタッチ(幸佐) 「やったぞ佐助!!」 そういって旦那が跳びはねた。 旦那は右手を上げてこちらに駆けてくる。 その意図を理解して俺はちょっぴり苦笑する。 タイミング良く左手を上げて受けてやる。 ぱん、と小気味よく手のひらが鳴った。 握手(政兼) 不承不承といった風に、目線さえ合わせずに差し出された手を見る。 「…すまんかったな」 尖らせた口から漏れた、彼にしては珍しいあっさりした謝罪の言葉に、私は瞠目した。 「いや、こちらこそ、大人気なかった」 差し出した手のひらが、重なる。 これがまず第一歩。 約束をしよう(梵小) 「小十郎、どこにもいかないよな?」 着物の袖を引かれる。 不安そうに見上げる主の、揺れる瞳。小十郎はしゃがんで目線を合わせると、にこりと笑いかけた。 「ええ、ずっと一緒ですよ」 「じゃあ、約束だ」 差し出された幼い小指に、無骨な自分の小指を絡ませてやれば、安心したように、主は少し泣いた。 それから長い時がたち、主は立派に成長した。 それでも、あのときの小指は繋がったまま。 指輪(馬趙) 「手を出してくれ」 意味も分からず差し出した右の手の薬指に嵌められたのは、翡翠の指輪。 驚いて彼の顔を見れば、顔を赤くして目線を逸らす。 「さっきたまたま見つけてな!翡翠は魔除けにもなるし…」 つらつらと言い訳じみた理由を並べ立てた後、ぼそりとつぶやかれた言葉。 「貴殿に似合うと思ったんだ」 嬉しくて、顔が火照る。ぎゅっと右手を握り締める。 「ありがとう、大切にする」 |