※なんちゃってラブレスパロ ※モブ鉢、鉢→雷、仙くく前提で、鉢くく。二人とも耳なし。 彼の頭に鎮座する人工物に、そっと触れてみる。精巧に造られたそれは、秘すべき過ちの跡。彼がもう大人になってしまったという証拠。ふわっとした感触と見た目はそっくりだけれど、うれしくてもかなしくても動くことはない。それから、冷たい。 じっと瞳を見つめてみる。嫌がってないようだったので、今日は訊いてもいい気がした。 「なあ、相手、誰だったの」 「…わすれた」 「へえ。」 あっけからんとした結果に、少し残念だと思った。かなり興味があったのだが。 なんでもないように、三郎は言うけど、そのなかに含まれた言いようのない苛立ちと後悔の色を俺は目ざとく見つけた。彼はすっと目を細めた。 「誰でもよかったんだよ、別に。」 「後悔してるんだな」 三郎は、指先で、もぞもぞと意味のない動きを繰り返している。平素とは違う、そわそわと落ち着かない様子だ。 それでも、深く息を吐き出すと、ゆっくりと語る。 「ああ、大事なものだなんて思わなかったのさ。いつ落としたってかまわないと思ってた。…雷蔵に、会うまでは。」 指先は、いつしか動きを止めている。血がにじむんじゃないかと思うほど拳を強く握り締めている。三郎は、唇を深く噛み締め、泣きたいような苦しそうな表情で声を搾り出している。 「実際は、俺が思ってたよりも大切なものだったんだな。本当にそれを捧げたいと思う人に出会うまで、分からなかった。俺は、残った心はすべて雷蔵に捧げたけれど、やっぱり、取り返してでも俺の始めては雷蔵にあげたいんだ!」 同じ名前を持つ者同士。宿命により結び付けられた二人。三郎にとっての雷蔵は友達だとか家族だとか、そんな言葉では到底片付けられない存在だ。自身の一部、あるいは片割れ。 三郎は雷蔵に執着している。惜しみない献身。盲目的な愛。持てるすべてを捧げながら、なおひとつだけ隠していること。取り返しのつかない、罪なのだと三郎は言う。 三郎の沈黙とともに、沈黙の帳が下りる。俺は、その意味を、感情をかみ締めた。 三郎は暫く後、ゆるりと伏せていた眼をあげると、俺を見つめた。次は、俺の番ということだ。 「…で、お前はどうだったんだ?」 そして俺は自分の頭に鎮座するものに触れてみた。やっぱり冷たい。 タイトルはas far as I know様より拝借。 三郎…戦闘機 雷蔵…サクリファイス 仙蔵…戦闘機 兵助…サクリファイス 左門…戦闘機 三之助…サクリファイス とか、そんな感じの話読みたい。 三郎は思春期特有の反抗心とかもろもろからさっさと耳落としてしまって、そのあと雷蔵に会ったから後悔してる。 兵助はすぐ仙蔵にいただかれちゃった、とか。竹谷のことが好きだから、付け耳だなんて言えない。 同じようにいけないことをしている同類として仲良しな、荒んだ二人。 |