1.寝込みを襲わさせていただきます


 真夜中。
 俺は何か違和感を感じた。
 何か、いる。俺の足もとに何か、いる。
 もぞもぞと動く小さな生物だ。
 のそのそとその生物は俺の体にのし上がってきて…
 俺はいきなり起き上がると、驚いているそいつの腕をつかんだ。

「やっぱりお前か幸村!!」

 てへっと幸村は笑った。

「やっぱり政宗殿は鋭いでござるな☆」

 いやいやそんな問題じゃないから。ってか可愛くないぞその語尾。

「何で俺の布団に潜りこんでんだよ」

「夜這いでござる」

 ん?今さらりとすごい単語が聞こえたぞ。

「今なんて言った?」

「夜這いでござる」
 





 …ああいかんいかん、現実逃避してしまった。
 うん、きっと意味は分かってない。そう思っておく。
 とりあえず、ずっと俺の足の上でにこにこしている幸村をどうにかしなきゃいかん。

「帰れ」

「えー政宗殿と寝たいでござるー」

 幸村はだだをこねはじめた。その姿は年相応でverycute。
 ただし、こいつはその外見に似合わず危険だ。なにをされるか分かったもんじゃない。
 ここは心を鬼にして拒否するべきだ!
 そっぽを向けば、幸村はしゅんとしてさらに言い募る。

「ひどいでござる…某何もしないでござるよ」

 ああ…っとほだされてはいかん!

「政宗殿おー…」

 Puppyのごときうるうるとした瞳で、きゅうんとすがりついてくる幸村。
 とうとう俺の気持ちは折れた。

「…今日だけだぞ」

 ぱあっと花が咲くように幸村の周りが明るくなる。 

「大好きでござるー政宗殿ー」

 そういって抱き着いてきた幸村を俺は抱き締める。
 そうだ。普通にしてれば可愛いのだ。
 こいつは俺を好きすぎるだけなのだから!




(好き好き大好き政宗殿!)
(あいつは可愛い暴走列車)


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