頬をすりよせる。けど、髭が痛い。

「もう剃っちゃえば、これ」
「え」
「痛いもん」






“pillow talk”




「ねえ、いやなの?」

わざと不機嫌な声で言ってみる。
旭は苦笑いをしてみせた。

「うーん。結構、愛着もあるんだよな」
「そう?でも、いいんじゃない。気分転換に」
「そうかなあ」
「うん。いいと思うよ」

旭の顎、指先で触る。
かたい、ちくちく、ごわごわした感触。
そのまま、唇へ移動。
ふにゃり、やわらかい感触。

「…なにしてんの」

くすりと笑って、あたしの手をとる。
それから、指を絡ませて、いつもみたいに、手を繋ぐ。


「キスして?」

旭は体を起こして、あたしを押し倒すようにしながら、キスをする。

旭の、甘やかすみたいなキスがすき。
ゆっくりで優しくて、ロマンチック、でもどこか扇情的。

唇離しながらあたしの顔覗き込む、その顔も。


「…痛かった?」
「すこしね」
「やっぱ剃ろうか」
「ううん、そのままでいいよ」
「そう?」
「それより」
「うん」

「もう一回、したいな」


旭は一瞬目を丸くして、それからちょっと照れたように笑う。


「…いいよ」




甘い甘い、二人の夜は、まだ終わらない。



fin.









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