“new year”




「…寒いね」
「うん、寒いね」


白い息を吐いて、隣に立つ旭くんにそっと寄り添う。
二人ぶんの厚いコートで温もりは伝わらないけど、
真冬だけのこの感触は嫌いじゃない。
ふかふかのダウンを着た旭くん。
まるで大きなソファーみたいって、こっそり思う。


「どんな年だったかな」
「うん?…そうだな、良い年だったよ」
「わたしも」

色んなことがあった気がするけど、振りかえれば良い年だったと思う。
何より、旭くんの隣で過ごせた。

「色んなところに行ったし」
「うん」
「思い出いっぱい」
「俺もだよ」
「ほんと?」
「ほんと」


顔を見合わせてすこし笑う。薄明かりに、旭くんの優しい笑顔。
真っ暗だった空が、だいぶ白くなっていることに気付いて、
左腕の時計を見た旭くんに尋ねる。

「…もうすぐ?」
「うん、そろそろ」



やがてゆっくりと強い光があらわれて、
辺りが朝の色に変わる頃、
わたしたちはどちらからともなくキスをした。



fin.

(ことしもよろしく)
(こちらこそ)










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