「バンくん、もっと、もっと強く」
「うん」
そして瞬間的に走る鋭い痛み。じくじくと痛む首筋には生暖かい感覚が伝う。すぐにその肌の上をもっと熱い感覚に塗られる。バンくんの舌は火傷してしまう位に熱く、傷口を抉られ焼かれるように舌を這わせていた。
「ん…っ、バンくん、もっと、だよ。…?」
「わかってる、ジン」
足りないよ、そんなんじゃ足りない。もっと深くまで抉って。君だけが僕の味も熱も気持ちも持っていていいんだ。君だけにあげる。全部あげるから、だからもっと僕を暴いてくれないか。
バンくんの背中にまわした指先はバンくんの背中に無数の線を描いていることも知っている。ぎりぎりと10本のまだらになった線がバンくんを縛って離さないように。強く強く爪を立てる。
「ジン」
「ん、」
あわせた唇は懐かしい気持ちをくれる。はじめての柔らかいキスを。照れた頬の熱さを思い返してくれる。そして何度も何度もおもう、ああ、バンくんに出会えて僕は死んでしまうくらいに幸せだ、と。
あの頃のようなキスは幸せでとても儚くて、そして不安にもなる。だから僕がそっとバンくんの唇に歯を立てればバンくんもそれが合図のように僕の唇を思いっきり噛み切る。二人の間で共有するあたたかい液体を味わいながら鈍く痛むその寄せる波のような痛覚をいとおしく思う。バンくんがくれる優しい痛み。愛してくれてる痛み。ほら、もっともっと欲しくなるんだ。
「なあ、ジンはこんなことで…」
「バンくん?」
「…いや、やっぱりなんでもない」
バンくんがとても寂しそうな表情をした。僕はこんなにも幸せなのに、バンくんは幸せではないのか。それでは嫌だ。僕はバンくんには幸せで居て欲しいバンくんだけを考えてるバンくんのためならなんでもする。だから笑ってよバンくん
「バンくん、バンくん、」
バンくんにキスを落としていく。お願い笑って。僕は君の側にいてこんなにも幸せなんだ、バンくん、ねぇ笑って
「ジン、くすぐったいよ」
くすくすとバンくんが笑って僕の額にキスをくれた。良かった。君が笑ってくれる。良かった。バンくんをぎゅうっと抱き締める。バンくんも抱き締めてくれる。抱き締めた僕たちの腕も絡めた足も首筋もお互いの背中もじくじくとした無数の傷が走っていて、心から嬉しくなる。僕たちは誰よりも一つになっているんだ。だから寂しくなんて、もうないんだ。
離れてしまうくらいなら、いなくなってしまうくらいなら、失ってしまうくらいなら。どんなことをしたって、されたって、いい。僕だけみていて。僕だけ感じていて。僕から離れるならお願いだから僕が全ての感情もバンくんへの想いも掻き消えてしまうくらいにぐちゃぐちゃにして二度と目など覚めないようにして。お願い。
「大好きだよ、バンくん」
壊れてしまった僕の愛
(バンくんが静かに泣いていたのはきっと気のせいだ)
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ジン様もイノベッ子な訳でユウヤくんよろしく愛とかひとりぼっちにはとても敏感でギリギリのところに居るとおもうんだ