「ゴドーさん…重い…」

一体どんな甘えん坊のライオンが抱き着いてきたのかと思うようなゴドーさんの甘え方が愛以上に重かった

「いいじゃねえか、まるほどう。アンタに抱きつくと安心するんだよ。抱き枕みたいでな」
「それは僕がぷにぷにしてるとかぽよぽよしてるとかいいたいんですかね?」
「クッ……男なら細かい事は気にすんじゃねえ」
「いやいや気になるでしょ」



ふわふわとくすぐる白髪からゴドーさんがよくベッドサイドに置くキャンドルの甘い匂いがする。ちなみに初めての夜の前、僕が甘いもの好きだといったらゴドーさんが買ってきたものだ。緊張しまくりの僕が少しでもリラックスできるようにとバニラの香りのキャンドル

ゴドーさんは優しい。回りくどいし外見からは判断がつかないけれどいつも僕のことを気遣ってくれる。無茶をできない体であってもその素振りは一切見せない。そしていつだって僕の名を呼ぶんだ
そんなあなたに僕からできることなんてたかが知れていて。完璧なゴドーさんはいつだって僕を甘やかすから

だけどふとした瞬間にゴドーさんは誰よりも甘えん坊になる。勿論本人は認めないけれど。でもゴドーさんがただ抱き着いてくるだけなんてのは有り得ないからこれは甘えているんだと知った時からそんなゴドーさんを全力で甘やかそうと決めた

仕事で何かあった時かもしれないし過去を思い出してしまったのかもしれない。理由はわからないけどゴドーさんが安心するなら朝まで抱いてあげようと決めた。ゴドーさんが言葉にしないのなら僕もただ黙って抱いてあげる。ね、二人で一つになれば怖くないでしょう?

「なぁ、まる」
「なんですか?」
「…一緒に行こうぜ」


ゴドーさんの顔の半分を覆うマスクをそっとはずす。どこへ、なんて聞かない。あなたが望む場所が終着点だから

「いいですよ」

そう笑うとゴドーさんは見えない瞳で見上げて

「アンタ、ほんとうにイイ女だ」


そう言った。そしてそれきりまた黙ってしまったゴドーさんを強く抱きしめる

あなたの隣が似合うようになれるならオンナでも構わない。あなた好みに仕立て上げられる喜びを知っているから。あなたの悲しみをうけとめられるなら



ゴドーさん、ゴドーさん、カミノギ、さん





子供みたいなキスをする。愛を分かち合うのではなくて相手にすがるみっともないキス。それでもいい。甘えているゴドーさんを僕が抱いて、哀しみを抱いて。そして甘えている僕を抱いて。この気持ちを抱いて






end







song by TUKIKO AMANO






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