朝のあの子




「おはよー…」




間延びした声が聞こえて振り向くと、予想通り佐野がいた。
眠いです、と主張しまくりの今にも閉じそうな瞳をグリグリこすっては小西に止められる。




「そんなに強くこすったら赤くなっちゃうよ。」


「うん……うん……。」




半分夢の中の佐野は小西にされるがままだ。その間に小西がボサボサの佐野の髪をとかしてやる。
……いつも通りの朝の光景だ。




「ぐー……はっ!…………すー……ハッ!!」


「お前いい加減起きろよ…」


「起きて、……ぐー……るってば………。」




いやいや、今完全に途中で寝てただろ!

なんとか意識を保とうとしてるのは分かるけど、こっくりこっくり起きたり寝たりを繰り返す姿は笑える。




「留美ちゃん、先生来るよ?」


「んん〜……起き、た。」


「ホントかよ。」


「ホントだよ。」




毎朝睡魔と格闘する佐野を見るのが日課になっちまった。

なんつーか和む。

朝練が終わった後にこれを見ると、なんとなく和む。佐野がウトウトしてる間に、小西と話すことも出来るし、一石二鳥だ。




「なに人の顔見てニヤニヤしてんの。」


「いや、別に。」


「ハッ、まさかよだれ!?」




まあ佐野は起きててもフツーに面白ぇけど。