星 の 戯 れ
`I love you' that I could`nt say.
溢れ出す




全て元通りになった。彼女は俺がヴァンパイアであること、俺の存在を忘れた。忘れたというよりは消えてしまった。
彼女の記憶に、俺はいない。


これで良かった。そう分かってるはずなのに、どうしてか『支葵くん』と俺の名前を呼ぶ彼女の声が頭から離れない。

高くも低くもない、柔らかく穏やかな声だった。

記憶を消すべきなのは、俺の方だったのかもしれない。こんなにも囚われているのだから。



頭の中で鳴り続ける彼女の声。もう二度と俺の名前を呼ばない彼女の声。止まない、声。


苦しくて、泣きそうになった。

―――泣きたいなんて、思ったことなかったのに。


それでももう元には戻れないから、俺は再び本当の夜の世界へ歩き出した。



閉ざした心は気づかないまま。

帰ろう、本来俺が在るべき場所。星の輝かない夜の世界に。







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