猫のぽち




中庭で昼寝をしてた。

最近見つけたお気に入りポイントはポカポカあったかくてマジ気持ちE。


そんなわけで今日もそこで昼休みを過ごしてるんだけど、俺の睡眠を邪魔するやつが現れた。




ガサゴソ、ガサゴソ




足音が近付いてくるような気がする。茂みの中にあるこの場所まで来そうな感じ?やだなあ、誰だろ。




ガサリ


「ほっ!」




変な声をあげて現れたのは見たことない女子。……ん、ウソウソ。俺この子のこと知ってるCー。


覚醒してきた頭で彼女の名前を思い出す。




「オメェ、ぽち!!!」


「いえ人間ですが。」




素でボケる彼女は怪訝そうに眉を潜める。
でも間違いない。そう、保健室のぽち。




「保健室のぽち!オメェが世話してたやつ!」


「ああ、ぽちってあの子のことね。……ん?なんでポチのこと知って……あ!もしかしてメリー!?」


「そうだC!!」




中等部では保健室の先生がよくベッドを貸してくれて、俺はそこによく眠りにいった。

ある日なんだかぬくぬく腹のあたりがあったけぇなと思ったら、ちっこい猫が腹の上で丸くなってた。


それがぽち。


当時保健室登校だった彼女が裏庭に捨てられているのを見つけ保護したらしい。

猫なのにぽち。俺はそれが面白くて彼女のことも『ぽち』と呼んでいる。



とにかく猫の方がきっかけで保健室でよく話すようになった。

よく聞けば同じクラスだった。時々部活の愚痴とかも聞いてくれて、ぽちは俺の大事なトモダチだった。




「良かったな、ぽち!オメェ引きこもりじゃなくなったんだな!」


「いやいや、最初っから引きこもりじゃねーし。ていうか久しぶりに会ったけどメリーでかいな、誰だか分かんなかった。」




寝る子は育つってマジなんだね、とぽち。

確かに久しぶりだ。何故か中3になるとぽちは保健室にいなかった。学校のどこにもいなかった。


だから3年ときにぐんと伸びた俺の身長にびっくりしてるんだ。




「ぽちは相変わらずチビだな。」


「チビ言うな。メリーも相変わらず羊毛ヘアだね。」



メリーって呼ばれるのも久しぶりだ。なんだかこそばゆい。


嫌がるぽちを無理矢理芝生に寝転ばせ、その頭を俺の腹の上においた。
猫より重いけど、あたたかさは変わらなかった。




「ギャアーばかはなせメリー!」


「寝る子は育つんだC〜」


「…………。」