保健のプリント


委員会が終わって教室に戻る途中のことだった。

昼休みが終わる前に急いで教室に戻ろうと思ったのが悪かったのだろう。少し急ぎ足で進んでいた体が何かにぶつかった。




「すみません。」


「いえ、こちらこそすみません。」




軽くぶつかった為、相手が転んだりするようなことはなかった。
ぶつかった相手を見ると、どうやら同じ一年生のようだ。随分小柄なその女の子は、転びこそしなかったが持っていたプリントを盛大にバラまいてしまったらしい。

すかさず拾い集めるのを手伝えば、「ありがとうございます」とはにかむように笑う。このプリント…保健だよりか。この子保健委員なんだ。

同い年のはずなのに、小さな子どもを相手にしてるような気分になった。




「ありがとうございます、それじゃ。」




軽く頭を下げてぱたぱたと走っていく。そんなんじゃまた誰かにぶつかるんじゃ…と思ったら案の定廊下の奥の方で紙のちらばる音がした。