桜味の新商品





今日は新作ポッキーの発売日。だから跡部には内緒で部活休んでコンビニに直行。


そしたら膝が真っ青なぽちがいた。なんだあの膝、痛ぇ。




「ぽち!」


「…あ、メリー。」




ぽちは俺に気付くとすぐに「部活どうした」と聞くから「サボった」と即答する。




「わるい子だね、メリーは。」


「だって今日ポッキー新しいの出んだ。」


「じゃ仕方ないな。新商品は発売日に食べると美味しさ二倍だもんな。」




ぽちはそう言って口元を緩ませる。ぽちはあんまり表情を崩さない。よく無愛想って言われるよ、と本人も自覚してる。

でもだからこそぽちのちょっとした表情の変化が嬉しかった。




「ぽちは何買うんだ?」


「あんまん。でも普通のにしようかごまあんまんにしようか迷ってるんだよね…。」


「ここのあんまんウマイ。ごまならあっちのサン○スのがウマイ。」


「じゃ普通のにする。」




決まるとすぐにレジに向かう。だけど一瞬止まってこっちに戻ってきた。




「今日発売のどれ?」


「あれ。季節限定のやつだC。」


「わたしも買う。」




お揃いの箱をレジに持っていく。ぽちの見てたら俺も食いたくなってあんまんも買った。

コンビニを出て近くの公園に寄ると、ガサゴソ袋からあんまんを出してかじりついた。




「はふ、あつい。でもうま。」


「だろ?ていうかオメェその痣どうしたんだよ。」


「こけて直撃。」


「マジマジ気を付けないとダメだC〜」




二人ではふはふあんまんを食べる。春に食べるあんまんも悪くない。


それからまた二人でガサゴソポッキーを出す。
季節限定、ほんのり桜味のポッキー。




「あ、うまー」


「お花見気分だなー」




発売日にぽちと二人で食べる新作ポッキーは、いつもより三倍美味しかった。